現在、大分で幼児から高校生まで無学年制の英語教室を主宰する廣津留真理さん。一人娘のすみれさんは、小学校から高校まで公立校に通い、ハーバード大学に現役合格&首席卒業。大分という地方都市に生まれ育ち、海外留学したこともなければ、塾に通ったことも模試さえ受けたこともなく、ハーバードの面接も自宅の部屋からスカイプ受験。「小中高の12年間でかかった学費はたった50万円でした」と、廣津留さんは語る。世界トップの大学に入る学力を支えたのは、幼児期から母と実践していた家庭学習だった。

ハーバードののちに進学したジュリアード音楽院の卒業式にて 写真提供/廣津留真理

すみれさんの大学入学を機に起業した廣津留さんは、すみれさんとの家庭学習を通して編み出したはじめから難しいことをする「ロケットスタート型」の英語レッスンをオンライン・オフラインの両方で行っている。ABCの書き取りも文法も教えないこの英語教室では、たった週1回75分のレッスンで幼児が英検3級(中学卒業レベル)、小学生が英検2級(高校卒業レベル)に合格する例が続出。イエール大学や東京大学、国立大学医学部といった難関大学に合格する教え子たちも。

英語指導にとどまらず、子育てに関するセミナーや、現役ハーバード生を講師陣に迎えるサマースクールSummer in JAPAN(SIJ)を毎年主催するなど、これまで約800人の現役ハーバード生に関わり、のべ1万人以上の親子を見てきた廣津留さんに、前回の記事に続き、子どもを伸ばす親とそうでない親は、いったい何が決定的に違うのかを教えてもらう。

廣津留真理(ひろつる・まり)
ディリーゴ英語教室代表/一般社団法人Summer in JAPAN(SIJ)代表理事兼CEO/株式会社ディリーゴ代表取締役。大分県在住。早稲田大学卒業。一人娘のすみれさんは、大分の公立高校から留学経験なしでハーバード大学に現役合格&首席卒業。彼女への家庭内での学習指導経験を踏まえて編み出した独自の「ひろつるメソッド」を確立。大分県の英語教室や県内外のセミナーにて、これまでのべ1万人を指導。現役ハーバード生が講師陣のサマースクールSummer in JAPANは、2014年、経済産業省の「キャリア教育アワード奨励賞」受賞。「人生が変わる1分間の深イイ話」(日本テレビ系)、「セブンルール」(カンテレ・フジテレビ系)などメディア出演多数。著書に、英語経験ゼロの子も1冊で長文読解までできるようになるドリル『英語ぐんぐんニャードリル ひろつるメソッド 最短最速! ゼロから一気に中2終了』 、娘と実践した家庭学習メソッドを公開した『成功する家庭教育 最強の教科書』(講談社)ほか。https://dirigo-edu.com
 

それ、すべて妄想です

最初のときめきを忘れて、ついついアラ探しをしてしまう。不安や疑心暗鬼に駆られて、思わず問い詰めてしまう。
――これは恋愛の話ではありません。子育ての話。

誰しも我が子が生まれた時には「何て可愛いの!」「目に入れても痛くない!」と、無条件に可愛がっていたはずです。
ところが、子どもが大きくなってくると、多くの親御さんが「うちの子ぜんぜん勉強しないんです」「宿題やらずにゲームばかりしてるんです」「まったく私の言うことを聞いてくれないんです」と、アラ探ししては、ダメ出しします。けれど、子どもが「言うことを聞いてくれない」のは、理由があるのです。

それは、「どうして勉強しないの?」「どうして宿題しないの?」と、問い詰めているから。「言わないといつまでたっても勉強しない」「このままだとどんどん成績が下がって入れる学校がなくなってしまう」と、親自身が不安や妄想、疑心暗鬼に駆られているからです。

恋愛で考えると分かりやすいと思います。「どうしてLINEの返事をすぐくれないの?」「どうして私のために時間を作ってくれないの?」と、お相手を問い詰める人はけっしてモテません。ドン引きされるだけです。

親が駆られる意味のない不安や妄想に関しては、少女マンガでありがちなシーンを思い浮かべてください。

(事実) 彼氏が街で自分以外の女の子と歩いているのを見かけた。

(妄想)私以外につきあっている人がいる!ショック!あれこれ疑惑にふける日々。

(その後わかる事実)あれは彼氏の妹で、私の誕プレを買う相談をしていた。

そんなバカな、と思うかもしれませんが、親が駆られている妄想のほとんどがこれです。成績が落ちた原因を勘ぐる。習い事が続かない理由を特定する。子どものやる気を疑う。なんでも漫画やゲームのせいにする。先生が悪いと先生ショッピングに走る。マンガだと、主人公の妄想も解けて、めでたしめでたし、となるかもしれませんが、妄想に駆られたままの親は、子どもにとって魅力的ではありません。「この人の言うこと聞きたいな」と思えなくても仕方ないのです。