生まれた故郷や応援したい自治体に寄付ができる制度の「ふるさと納税」。各地域の特色あふれる返礼品が話題になることもありますが、物ではなく、現地でしか叶わない体験をリターンとする地域もあります。今回は、宮崎県日南市へ、コケの標本整理の旅に行ってきました。どんな経験ができるのでしょうか? 

●情報は、FRaU SDGs MOOK Money発売時点(2020年11月27日)のものです。

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コケの聖地を旅して、
初めて触れた標本の世界!

世界唯一のコケ専門研究所。建物は国の有形文化財です!

宮崎県日南市の旧城下町に、コケ研究界では知らない人はいないとされる、世界唯一の専門研究機関がある。1946年、植物学者の服部新佐博士が設立した服部植物研究所。ここでは、ふるさと納税で「コケ植物の標本整理体験」ができるという。コケの標本整理? そのリターンの珍しさ、未知への興味に誘われて旅に出た。

所長の片桐知之さん。所長の僕がご案内します!

風通しのいいモダンな洋風平屋で迎えてくれたのは、3代目所長で自身も研究者である片桐知之さん。10年ほど前から研究所を一般公開し、コケの魅力を広めるとともに、数えるほどしかいない若手研究者の育成にも力を入れている。

シンプルな装飾が美しい1階の展示室。作業は右のテーブルで行う。2階には和室が。

「世界約2万種のコケ植物のうち、日本には2000種ほどが自生しています。日本は世界有数のコケ大国なんですね。なかでも温暖で湿度の高い宮崎県は九州では、屋久島に次ぎコケが多く生育し、研究に適した土地でもあります」

窓辺には、コケのテラリウムも展示。¥1000で制作体験も可能。

身近な植物でありながら、コケについて知らないことは多い。しかも、この研究所が主に扱うのは、生きたコケではなく、標本なのだ。

日本にも広く分布するスナゴケ。生きたコケもじっくり観察できる。

「コケの研究には、ひとつの種類でも、時代ごと場所ごとに、大量の標本が必要になる。ここでは日本のと海外のとで半々くらい、約50万点の標本と、3万点近い書物や論文を所蔵し、研究者に貸し出しています。これらの標本は、コケ研究の命綱なんです。でも、国内外から年に何千点も標本が届くので、少ない研究員ではとても整理が追いつかない。すでに未整理のものが数千点を超えてしまっている状況です」