過疎が進む村で、廃校から息を吹き返した校舎があります。地域の人々が交流し、文化や観光の拠点となった「喰丸小」。再生への村民の思いを支えたのは「ふるさと納税」でした。

●情報は、FRaU SDGs MOOK Money発売時点(2020年11月27日)のものです。

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ふるさと納税が村を変える

福島県西部に位置する昭和村。山あいを縫うようにして10の集落からなる村には、1200人ほどが暮らしている。村内の喰くい丸まる地区に喰丸小学校が建てられたのは、1937年のこと。戦後から高度経済成長期にかけて多い年には100名以上が在籍するも、村から都市部への人口流出が進むにつれて生徒数は減少し、1980年に廃校となった。当時、村にいくつかあった廃校が解体されていくなか、ぽつんと取り残されるように旧喰丸小学校だけがこの場所にとどまり続けた。

宮沢賢治の小説『風の又三郎』に登場しそうな昔懐かしい2階建ての校舎。校庭のベンチは憩いの場として村民に親しまれる。校舎の屋台骨となる柱は継ぎ木され、廊下や壁の板材は再利用。黒板、机、掲示物は当時使われていたものが展示・活用されている。周辺の森林も含めた村の総面積(209.46㎢)は、東京23区の約1/3の広さ。

しかし、使われなくなった建物の傷みは早い。追い打ちをかけるように、毎年の雪による木造校舎の老朽化を案じた住民からは、取り壊しの要望が寄せられた。その一方で、2009年に映画『ハーメルン』のロケ地として使われたように、旧喰丸小学校は村を訪れる人を魅了し、いつしかこの土地の風景の一部として昭和村を象徴する存在へと変化していた。

そして2015年、校舎の再生を願う人たちの粘り強い署名活動と住民アンケートによって存続が決まったものの、改修にかかる金額は1億円以上。財源の限られた小さな村が費用を単独で工面するには限界があった。その頃、事業の担当についた役場職員の小林勇介さんは、「村の文化を理解し、工事を行う意図と村民の想いに共感してくれる人を増やしていく必要がある」と、ガバメントクラウドファンディング(GCF)に着目した。ふるさと納税制度を活用し、具体的な使い道を示しながら、地域を応援しプロジェクトに共感する人からの寄付を募ったのだ。