政治家が会食をやめられない理由
今回の森発言で、私の脳裏に浮かんだ風景のもう一つの光景が、昨年末から続く政治家の会食だった。新型コロナウイルスの感染が急激に拡大する中で、菅首相はじめ政治家はどれだけ非難されようとも会食をやめない。ある政治ジャーナリストは「国会議員は会食が仕事」とまで言った。
しかし、こう思った人多いのではないだろうか。なぜ仕事の話なら昼間にしないのかと。
私は森発言の背景にある、会議は発言し議論するところではなく、上のいうことをありがたく聞く場所、決まったことを追認する場所というカルチャーと、この“会食政治”は表裏一体だと思う。
これまで何人もの女性政治家に取材をしてきたが、政治家になってしんどかったことを聞くと、毎日のように顔を出さなければならない夜の会合や会食だったと答える人は多い。特に子育て中だであると、家族との時間を全く取れなくなることが政治家を続けていく上で大きなハードルになる。そしてこの慣習は、女性が立候補をするのを躊躇する大きな要因にもなっている。
企業ではどうだろう。森発言を受けて、私はツイッターでこう呟いた。
「森氏の発言と夜の会食問題の共通点は、昼間の会議で徹底的に議論して意思決定をするというプロセスを軽んじていること。同質性の高い集団で、異論を唱える人を排除して、なあなあで物事を決める文化は、政界、スポーツ界だけでなく、企業でも根深い。その場から女性は排除され続けてきた」