日本の家庭は日々のごはん作りを頑張りすぎだから、もっと力を抜いていい。そんなメッセージを含んだ記事「日本の家庭料理はハイスペックすぎる。世界の食卓は意外と質素」を以前、FRaUwebに寄稿してくれた、料理研究家のコウケンテツさん。この記事はTwitterでトレンド入りするほど大きな反響がありました。
今回は、このときのメッセージがふんだんに込められた著書『本当はごはんを作るのが好きなのに、しんどくなった人たちへ』(ぴあ)から、どうしてもごはんを作るのがしんどい日の対処法を紹介します。
「え!? 今日餃子だけ!?」にブチギレていい
毎日の食卓に品数を多く揃えないといけない。そんな品数問題について悩まれてい
る方も多いと聞きます。
「え!? 今日餃子だけ!?」
と言われ、ブチギレそうになった経験、ございませんか?
餃子は、見た目のシンプルさとは裏腹に、ものすごく手間がかかります。キャベツ、ねぎ、ニラなどの野菜を大量にきざんで餡を作る。その餡を1個ずつ皮で包む。フライパンにきれいに並べて焼く。そうです、これは大仕事です。

大量の野菜とひき肉と調味料とを和えるので、大きなボウルだって必要です。さらに、餃子の餡を包むときには、調理スペースも広くとられてしまう。やることがいっぱい。こうした、手間も時間も空間も必要な料理を作るときには、どうしたって他に品数を増やすのが難しくなります。
「テーブルの脚が折れるくらい品数を揃えないといけない」といわれる食のおもてなしの国、中国にロケに行った時のこと。訪問したご家庭でこんな光景がありました。保存容器にギュウギュウに詰め込んだ冷たい水餃子をそのままレンジで温め、タレをたっぷりぶっかけただけの晩ごはん。副菜どころかお米などの主食もない。それをいかにもおいしそうに食べていたお父さん。その姿を見て、我が目を疑った。全然、話ちゃうやんけ。