アントの上場中止は、突発的に起こったことでなく、それまでも進められてきた巨大IT企業規制の延長線上にある事件だ。
これは、デジタル人民元の導入と一体になって進められている。民間電子マネーを排除して、デジタル人民元の利用を進めれば、マネーの取引情報が民間IT企業から国に移る。それによって、史上最強の「デジタル・レーニン主義」が可能になる。

姿を消したマー氏
10月下旬に予定されていた中国のIT企業アントフィナンシャルの上場が突然中止になり、それ以降、アントの親会社であるアリババの創始者ジャック・マー氏が公的な場から姿を消した。
これは中国における共産党と巨大IT企業の関係が大きく変わった現れだと、「巨大IT産業時代の終焉なのか―中国で重大な地殻変動が起きつつある」で述べた。
マー氏は、1月の20日になってやっと姿を現したが、これまでのような積極的・挑戦的な発言は影を潜めている。
アントの上場中止後も、中国金融当局によるIT企業の規制強化が、つぎのように続いている。
12月、アントの親会社であるアリババの独占疑惑をめぐって、当局が調査を始めた。
12月14日、アリババなどに対して罰金を課すとした。
12月21日、アントなどのIT企業が銀行預金を仲介するサービスを取りやめさせた。
12月26日、アントグループに対し、規則に反する金融業務の見直しを求めた。
12月14日、アリババなどに対して罰金を課すとした。
12月21日、アントなどのIT企業が銀行預金を仲介するサービスを取りやめさせた。
12月26日、アントグループに対し、規則に反する金融業務の見直しを求めた。