2021.02.28
# 企業・経営

「Clubhouse」はなぜ爆発的人気となったのか…その新しさの正体

やがてTV、ラジオを駆逐するか
野口 悠紀雄 プロフィール

「文字派」vs.「音声派」

「文字か音声か」という違いは、重要だ。文字であれば、自分が知りたいことに直ちに見ることができる。しかし、音声では、自分が知りたいことを直ちに聞くことができない。つまり、情報を「ブルする」手段としては、音声は効率が悪い。

しかし、話す場合には、必ずしも正確な体系ができていなくても、アウトプットすることが可能だ。おおよその枠組みさえあれば、論理的な構成や表現の仕方などにあまり細かく気を使わなくても、話すことができる。

こうして、星雲状態にあるアイディアをアウトプットできる。そして相手の反応を見ながら、それを修正していく。ある考えを表現するためには、文字で表現するよりもずっと手軽で簡単だ。

私はかつて「アイディアコモンズ」ということを考えたことがある。これは、何人かで協力しながらアイディアを成長させていくプロジェクトだ。実際にはうまくいかなかったのだが、その大きな理由は、相手からリアルタイムのレスポンスを得ることができなかったことだと思う。Clubhouseを使えば、これができるかもしれない。

もともと人間がコミュニケーションに使っていたのは、音声だ。文字はずっと後になってから発明されたものだ。だから、音声の方が、人間にとって自然なアウトプットの手段なのかもしれない。

 

ただ、音声だけでは消えてしまうということを、私はどうしても認めることができない。最終的には文字の形で残しておきたい。できれば書籍の形で残しておきたいという願いを捨てることができない。

これは、思い込みではないと思う。対話を重視したらプラトンでさえ、著作を残したのだから。 

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