「美紀はすごく自分と似てる」(水原)

――つい、「箱入り娘のお嬢様」といえばこう、とステレオタイプなイメージを持ちがちですが、実際は、人って多面的なんですよね。門脇さんが演じる華子が前半も魅力的なのは、その、これから開花する種の部分が、チラチラと垣間見えるせいかもしれません。希子さん演じる美紀は、カッコいい役だし、一つひとつのセリフの説得力がすごかったです。演じていて楽しかったのでは?

『あのこは貴族』より
 

水原:はい。美紀は、すごく自分と似てるなって思いました。私も16で神戸から出てきたときは、東京に憧れを持っていたし、芸能界みたい不安定な世界で、でも「自分で何かをやりたい」と思って、道を切り開いてきたタイプなので(笑)。もちろん、挫折したり傷つくこともたくさんありましたけど……。

自分で自分の人生を切り開くという意味では、このお話をいただいたのが、ちょうど私が起業したタイミングだったんです。だから、共感度がすごくて。監督と話していても、「こういうことですよね?」「こういうことある!」「わかる?」「わかります」みたいな共感の確認をしながら、撮影が進んでいった感じです。ただ、ものすごく空気が読めちゃう美紀は、視線で繊細な感情を表現しなければならない部分もあったので、細かく作り込んだシーンもあります。

撮影:山本倫子

――回想シーンで、10代の美紀も演じていますが、ちゃんと18歳に見えました。

水原:前髪を作ったら、なんとかいけました(笑)。でも、こんな若い役を演じたのは初めてなんです。いわゆる“学園もの”とか“青春群像もの”とか、縁がなかったので(笑)。

門脇:「ノルウェイの森」(2010年)のときは何歳?

水原:撮影したときはまだ10代だったし、若くて、無垢な部分を出していく役だったけど、当時は私も若かったので(笑)。その後は、見た目やイメージの影響もあるのか、ずっとアクの強い感じの役が続いて……。でも今回の美紀に関しては、“等身大”という感じです。