「バブル崩壊」兆候のウラで…急失速する「日銀ETF購入」の前に立ちはだかるユニクロ

近藤 駿介 プロフィール

ちなみに東証時価総額ランキングと日経平均株価の構成比で共に2位のソフトバンクグループの大株主10名の保有比率は52.63%と、ファーストリテイリングに比べて30%も低くなっている。

ファーストリテイリングは日経平均株価の構成比においては約13%を占めるトップ銘柄であるが、「浮動株時価総額加重型」の指数である東証株価指数(TOPIX)の構成比は1月末時点で僅か0.48%、構成比率ランキングでは46位に過ぎない。

時価総額ランキングで5位のファーストリテイリングが「浮動株時価総額加重型」のTOPIXの構成で46位に留まっているのは、発行株式数における浮動株の比率が極めて少ないからである。

この浮動株の少なさがETF発行量のボトルネックになってくる。なぜなら浮動株を手に入れられなければ株価指数の連動するETFを組成することができないからだ。

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ETF購入がはらむリスク

ファーストリテイリングの発行済株式数(自己名義株式を含む;2020年8月31日現在)は1億607万3000株である。仮に浮動株が大株主10名の持つ以外の17%だとすると浮動株数は約18百万株、日銀や年金信託、投資信託が市場で購入できる株数はあと約18百万株しか存在しないのだ。

日銀のETFをはじめ年金信託、投資信託の保有分を反映している日本マスタートラスト信託銀行(信託口)と日本カストディ信託銀行(信託口)2社の保有株数が約35百万株であるから、残された浮動株は現保有株数の半分以下でしかないということである。

つまり、創業者である柳井氏とその一族が所有株を手放さない限り、日銀や年金信託、投資信託が増やせるのは現在の持ち株数の50%未満なのだ。この約18百万株という限られた浮動株を裁定取引業者や海外投資家といった人達との取り合うのであるから、現実問題として日銀や年金信託が増やせる株数は50%よりもずっと少なくなるはずである。

2013年8月と2020年8月のファーストリテイリングの大株主状況を比較してみると、発行済株式数と柳井氏を含む創業家一族の持ち株数に変化がない中、日銀のETFや年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の持ち分を反映する日本マスタートラスト信託銀行(信託口)と日本カストディ銀行(信託口)の持株数は約62%、持株比率は14%弱増加している。

その結果、大株主10名の持株比率はこの7年間で66.16%から82.98%まで16.8%増加している。言い換えれば信託銀行がそれだけの浮動株を市場から吸い上げたということである。

日銀は異次元の金融緩和によってETF購入を2倍に拡大して以降8年弱を掛けて約35.7兆円のETFを購入する過程でファーストリテイリングの浮動株を約1336万株、発行済株式数の約16.8%吸い上げたのである。その結果、ファーストリテイリングの大株主10名以外が保有する所謂浮動株は3172万株から1737万株まで約1435万株減少してしまっている。

ファーストリテイリングの浮動株は発行済株式数の約13%、約1737万株しか残されていない。

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