投資の神様・バフェットの真意は……
2月27日土曜日に、恒例の「バフェットからの手紙」が公開された。公開前にはバフェットが「大統領選挙」、「世界的パンデミック」、「米国株はバブルなのか」などについて述べるのではないかと期待されていたようだが、実際には、それらに関する直接的言及は無かった。

もともと、バフェットは民主党支持とはされるが、政治的な発言は極力控えてきた。米国内で大騒ぎになった大統領選挙に言及して、下手に火の粉を浴びるのは避けたかったはずだ。また、政治的発言が、彼が最も大事にしている「投資」にプラスに働くことはまずない。むしろ政治的見解の相違が「ビジネスチャンス」を奪うことを恐れている。
バフェットが少年時代新聞配達をしていたことは有名であるし、最近も(道路から一戸建てのポストまでの)新聞投げの技を披露している。また、ワシントン・ポストなどの新聞社を始めとする多くのメディアに投資したことがあり、それらのメディアがピュリッツァー賞などを受賞したことを誇りに思っている。だが、自らが投資するメディアを使って、自分の政治的方向性を示そうとしたことは無かった。
新聞事業は過去、バークシャー・ハサウェイに多くの収益を与えてきた投資対象だが、インターネット時代の到来以降、その将来にはかなり悲観的であった。結局、昨年1月に保有する新聞事業を売却し手を引いた。
また、「社会問題」に類することにもほとんど言及してこなかった。ただし、「年金問題」は、米国でも大きな懸念だが、そのシステムの将来の危うさには触れたことがある。もしバフェットが年金資産を年率20%で運用してくれれば、日本を含む世界中の「年金問題」が解決するのだが、そうもいかないであろうし、バフェットは90歳という高齢だ。
さらに、「パンデミック」は投資に大きな影響を与えるのだが、ウイルスのことなどバフェットはよく知らない。「未来は予想できない。しかし、危機に備えることはできる」というバフェットの口癖のように、「パンデミックがどうなるかはわからないが、どのようになっても大丈夫なように備えている」ということは、彼の投資行動から読み取っていくしかない。
そして、「米国株はバブルなのか」ということについては、バークシャーの運用成績と、ポートフォリオの組成が物語っていると言える。