2021.03.07
# ギャンブル

「公営ギャンブル」がコロナ禍でも大盛況…だが、手放しに喜んではいられないワケ

参加人数は↓売上は↑ということは?
鷲尾 香一 プロフィール

ギャンブル依存症が進む恐れも

背景には何度も触れたが、電話やインターネットによる投票の普及があることは確かだ。

いずれの公営ギャンブルも2010年から2015年頃までは、売上高は減少の一途を辿っていたが開催会場や場外売場に出かけずとも投票券を購入できる電話やインターネットによる投票の普及により売上高が回復している。

これが新型コロナ禍にあっても、自宅からギャンブルを楽しめることで、2020年に大きく売上を伸ばした要因になった。

筆者のギャンブル好きな何人かの友人も、「テレワークでストレスが溜まった分、週末には競馬に没頭した」「パチンコやパチスロに出かけられなくなったので、スマホを使って投票券を購入して楽しんだ」という声から、「特別定額給付金の10万円をすべて公営ギャンブルに使った」というツワモノまでいた。

国が運営するギャンブルを楽しむことは悪いことではないが、公営ギャンブルの活況の陰には、大きな懸念もある。

賢明な読者はお気付きだと思うが、例えば競馬や競艇は参加人員が減少しているにもかかわらず、売上が増加しているのだ。それは1人当たりの購入額が増加していることを意味する。

そこで、競馬と競艇の平均購入額と前年比伸び率を算出してみると、競馬では前年1万5808円だった平均購入額が前年比12.3%も増加し、1万7746円に増加している。競艇でも同様に前年4295円だった平均購入額が前年比26.4%も増加し5428円となっていた(表6、7)。

増加しているといっても、金額的に“目くじらを立てる”ほどのものではないのかもしれない。だが、新型コロナ禍の不自由な生活によってギャンブルにのめり込み、「ギャンブル依存症」に進む懸念があるのではなだろうか。

くれぐれも、公営ギャンブルは生活に影響のない少額で楽しむ程度にとどめておいた方がいい。

 
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