2021.04.17
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1本のネジの外し忘れが世紀の大事故に…アポロ13号が地球に生還した日

サイエンス365days

"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。

1本のネジの外し忘れが世紀の大事故に…

1970年の今日(4月17日)、アメリカの有人宇宙船「アポロ13号」が、さまざまな事故を乗り越え地球に帰還しました。

アポロ13号は11号、12号に続く人類史上3度目の月面着陸を目的とした宇宙船で、船長には宇宙旅行を3度経験したジム・ラヴェル(Jim Lovell、1928-)が起用されました。

4月11日の13時13分に地球を発ったアポロ13号は、地球から距離32万kmに達したところで、機械船内の酸素タンクが爆発するという致命的な事故に見舞われます。爆発の影響で宇宙船は予定軌道を大幅にそれ、酸素の半分以上を失ってしまいました。

この事故の原因となったのは、サーモスタットの故障と、酸素タンクを船に取り付ける際に作業員がネジを1本外し忘れたことでした。

アポロ13号に搭載された酸素タンクは、もともとアポロ10号に取り付けられていました。しかし、タンクに不具合が見つかったため、取り外して修理が行われることになったのです。

タンクを載せている棚は4本のネジで固定されており、このすべてのネジを外してから棚ごとタンクが取り外される予定でした。しかし、作業員はネジを1本外し忘れてしまったのです。これにより、クレーンで途中まで持ち上げられた棚が落下するという事故が発生します。この衝撃が原因で、内部の液体酸素を抜き取るパイプが損傷を受けていたのですが、この時点ではまだ誰もそのことに気が付いていませんでした。

アポロ13号の酸素タンクの模式図

それから数年後、この酸素タンクはアポロ13号に取り付けられ、まずは地上訓練で使用されることになりました。そして、この訓練の際に液体酸素を抜き取るパイプが使用できないことが判明したのです。

このとき、タンクを完全に修理していれば大事故は防げていたのかもしれません。しかし、計画のスケジュールに追われていたNASAは、タンクをヒーターで加熱して液体酸素を気化させるという力業で酸素を取り除くことにしたのです。

そして、ここでもう一つの不具合が重なります。タンクをヒーターで加熱する際、サーモスタットによってタンク内の温度は安全な範囲に制御されるはずだったのですが、そのサーモスタットがじつは正常に働いていなかったのです。この原因は、65ボルトの電源に28V用のサーモスタットが用いられていたという単純な理由でした。

サーモスタットの故障により、タンクの内部は非常に高温になり、タンク攪拌用ファンの配線の被膜が溶け、中身の電線がむき出しになってしまいました。離陸後に再びファンの電源をつけたとき、電線から飛び散った火花が液体酸素に引火し、タンクが爆発を起こしたのです。

酸素の大半が漏れ出して帰還までの酸素量が賄えなくなるなど、一時は乗組員の命さえ危ぶまれる危機的な状況でしたが、彼らは狭い着陸船で4日間を過ごして酸素を節約させ、なんとか帰還することができました。

アポロ13号の乗組員(変更前)、画面左からラヴェル、ハッティングリー、ヘイズ Photo by Heritage Space/Heritage Images via Getty Images

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