官僚志望者が激減…霞が関の「不払い残業」がもたらしている「本当の問題」

1月18日から始まっている第204回国会(通常国会)。会期は延長がなければ6月16日までの150日間だ。すでに東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の問題や総務省幹部などの接待問題で紛糾しているが、本来は新型コロナウイルス感染症の拡大防止と国民の生活再建が最優先課題である。

そんな重要な国会の場で、昨年から一冊の本が話題だ。2019年まで厚生労働省に勤めていた元キャリア官僚・千正康裕氏が書いた『ブラック霞が関』(新潮新書)である。周知のとおり、「霞が関」とは国の行政機関(中央省庁)があつまる東京都千代田区の地名。本省の政策立案部門で働く国家公務員の過酷な労働環境について、現場から具体的に解説し、改善にむけた提言をしている書籍である。

 

朝7時〜午前3時過ぎまでの過酷な労働

『ブラック霞が関』では国会会期中の若手官僚のタイムスケジュールの一例を示している。これが衝撃的だ。一部省略して以下に引用する。

[今の若手官僚の1日の例]
7:00 検討中の政策について報道が出たため、大臣が記者に聞かれた時の応答メモを急遽自宅で作成
    上司の決裁を得て大臣秘書官に至急送付
9:00 出勤。政党の会議から帰ってきた局長から議員への説明資料作成指示
9:30 局長指示の議員への説明資料作成開始
10:30 資料作成完了
11:00 審議会の資料作成(政府案の検討)
11:15 国会議員から地元イベントでの挨拶文の作成依頼があり作成
11:35 自治体からの問合せへの対応
12:20 課長の指示を受けた審議会資料の修正
13:00 国会議員依頼の挨拶文を上司に説明、修正指示を受ける
14:05 議員レクのために議員の事務所に向かう
14:30 議員レク開始
15:30 議員レク終了
15:45 職場に戻る
16:00 朝の局長指示で作成した議員説明資料について課内打合せ
16:30 課内打合せを踏まえて修正
16:50 審議会資料について課長に説明・了解
17:00 国会議員から質問主意書が届き答弁書の作成開始
18:35 翌日の大臣の記者会見での質問内容が記者クラブから届き、大臣の回答メモを至急作成
19:30 大臣の記者会見回答メモについて上司の了解を得て秘書官に送付
20:00 質問主意書の答弁について上司の了解
20:30 国会議員の依頼の挨拶文が完成、メールで議員事務所に送付
21:00 秘書官から、大臣記者会見用の回答メモについて確認の電話、修正指示
21:30 大臣記者会見用の回答メモの修正完了、コピーして広報室に持ち込み
22:30 庁舎内のコンビニが閉まる前に夕飯の買い出し、夕食
24:00 局長から資料修正指示のメールが届き、修正作業
    修正したものを課長にメールで送付
24:30 質問主意書の答弁書について官房総務課の審査を受ける
26:00 質問主意書の官房総務課審査を受けて修正作業
27:00 質問主意書の官房総務課審査終了
27:15 質問主意書の答弁書と参考資料を内閣法制局にメールで送付(翌日審査)
27:20 退庁

朝7時に自宅で業務が始まり、27時20分、午前3時を過ぎてようやく拘束を解かれる。その間、ろくに休息もとれないまま、20時間働き続けている。明け方にタクシーで家に帰り、翌日も国会があるため仮眠程度に寝て、また朝7~8時頃には仕事が始まるのだろう。千正氏はこのスケジュールを「忙しい部署の若手のよくある1日の例」と書いている。半年続く通常国会の会期中、連日このような働き方を続けていれば、どれほど健康な人でも心身ともに壊れてしまうはずだ。

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