クソ仕事が生むクソ仕事
もちろん、単純にテレワークができる=クソどうでもいい仕事というわけではない。作業がオフィスでも自宅でも同じようにできるというだけで、意義も生産性もある仕事をしている人は多い。
だが、出社して同僚や上司・部下に会うこともなくなり、それで誰も困っていないというような場合は、自分の職が誰にも求められていない、ブルシット・ジョブである可能性を疑ったほうがいいかもしれない。
問題は、そんな立場の人が新たなブルシット・ジョブを生み出し、現場や末端の人間を疲弊させるケースが多いこと。
大手不動産会社で苦情処理担当をしている中堅社員・水口駿二さん(仮名・30代)がこう語る。
「自粛でストレスが溜まっているのか、コロナ禍以降、些細なことでクレームをつけてくる方が増えました。入居物件に併設されているテナントショップの店員の態度が悪いとか、1階にある歯医者に行っても治らない、とかいう苦情です。
理不尽で、当社には手の施しようのないクレームですが、怒鳴られたり、罵られたりしながらひたすら耐えるしかない。頭にくるのは、この部署自体が、お役所から天下りしてくる役員らのポストを確保するために存在することです。
そうしたお偉いさんは、もちろんクレーム処理なんてしません。ただ現場に、『もっとコストカットしろ』などと指示してくるだけ。
修業のためと称して配属されてくる若手が、ストレスで次々と病んで離脱しているのに人事上のケアもしない。絵に描いたようなブルシット・ジョブですよ」

どうでもいい仕事しかしない一部の管理職や経営者の中には、自分の存在意義を示すべくあえて仕事を増やす者がいる。
部署の新設や再編、謎の新プロジェクト等々。そうした場合、現場の人間の負担が増すだけで、概して良いことはない。
手間のかかる書類や報告書の作成、会議や管理の仕事ばかりが増え、クソどうでもいい仕事が、さらにクソどうでもいい仕事を作っていく……。こうした流れは、前述の『ブルシット・ジョブ』でも指摘されている現象だ。