「外国語習得の極意」を、池上彰と元総理通訳が伝授!

池上彰×中川浩一(前編)
世界各地で取材を続けるジャーナリストの池上彰氏と、元外交官で、アラビア語の天皇通訳、総理通訳を務めた中川浩一氏(『総理通訳の外国語勉強法』著者、現・三菱総合研究所主席研究員)。2人が勧める外国語習得法と、世界で通じるコミュニケーション術とは?

外国語は何歳からでも、やればできる!

中川 池上さんが、昨年8月、NHK「ラジオ英会話」のテキストに、私の著書(『総理通訳の外国語勉強法』)を紹介してくださったことがきっかけで、今回お会いすることができました。

池上 (世界最難関ともいわれる)アラビア語を習得した中川さんの経験を通じて、外国語を勉強するとはどういうことかを知ってもらいたいと思いました。アラビア語に比べれば英語は楽なものだと思いますよ。

池上彰氏

中川 外務省に入ると、まず、どの言語を専門にするかが決められるんです。いちおう希望する言語を人事課に提出できるんですけど、実は私の第1希望はスペイン語でした。でも、私は帰国子女じゃないし、留学したこともないので、スペイン語である理由はどこにもない。それを、人事課に見透かされたんですね(笑)。その年、希望者がいなかったアラビア語を振られました。

でも、そこからチャレンジが始まって、私は24歳で外務省に入ったのですが、エジプトでの語学研修を経て、4年8ヵ月後にはアラファト・パレスチナ解放機構(PLO)議長の通訳を務められるまでになりました。

今、日本人で外国語学習に苦労している方は多いと思うんですけど、社会人になってからでも新しい言語を習得できる、やればできるというメッセージを、この本では伝えたかったんです。当時を振り返りながら、どうやったら語学ができるようになるか、その考え方や学習法を、全ての語学に通じるように書いたつもりです。

池上 この本は勇気を与えてくれますよね。

「英語脳」は必要なし

中川 池上さんは、英語以外の外国語はどうですか。

池上 いえいえ、全くダメです。大学で、第2外国語はドイツ語でしたけど、「Ich kann nicht Deutsch sprechen.」(私はドイツ語が話せません)と話して、ドイツ人の笑いをとるだけでした(笑)。