第33回東京国際映画祭でも上映された、原作の絵本も人気の『どすこいすしずもう』のアニメが、4月よりtvk、チバテレ、テレ玉ほかにてテレビ放送開始となる。声優、俳優、ナレーションなどの活動の傍ら、映像監督もこなす津田健次郎さんが、本作では、“なすび親方”の声で出演。

すし×すもうの日本カルチャーを詰め込んだ新感覚のCGアニメーションが話題のアニメ『どすこいすしずもう』の魅力、“待ったなし”で挑んできた演劇人生について語っていただいた。

津田健次郎・1971年生まれ。大阪府出身。声優・俳優・ナレーターとしてマルチに活躍する演劇家。2019年『ドキュメンターテイメント AD-LIVE』にて映画監督デビュー。2021年第十五回 声優アワードでは、主演男優賞を受賞。アニメ『どすこいすしずもう』では、なすび親方の声を演じる。

人生のターニングポイントは19歳の時

 ー4月から放送されるアニメ『どすこいすしずもう』では“なすび親方”を演じていらっしゃいます。数多くの声を演じていると、役の切り替えが大変では?

津田:意外とぱっぱと切り替えられます。例えば、朝はなすび親方をやって、夜は人殺しの役をやったり(笑)。かなりの振り幅が日々あるんです。役の切り替えは、やっぱり慣れが大きいですね。僕は元々舞台出身なんですが、舞台の場合は1ヵ月かけて稽古をして役を仕上げていく感じなので、声優業とは全然ペースが違うんですが、声優の場合は、逆に役の切り替えやキャラの声にすぐ対応できる瞬発力がとても大事なんです。

Photo/Mitsue Yamamoto

ー声優業を中心に様々なご活躍をされていますが、人生のターニングポイントがあれば教えていただけますか。

津田:いくつかあるんですが、一つは演劇と出会った19歳の時。中高時代、思春期というのもあって「世の中なんて知るもんか!」とか、屈折した思いやネガティブな感情を山程抱えていたんですね。そういう感情って、自分の内側に秘めるもので、外に出すものじゃないと思っていたのですが、演劇だとそれも含めて全部をさらけ出していいよって世界で。「え、本当に?この自分も出していいんですか!?」みたいな(笑)。なんなら、抑え込んでいた自分を前面に出したら、逆に褒められるっていう世界で。

人間ってすごく自由なんだ!って気づいたことを覚えています。そこから演劇にハマっちゃったんですよね。それまでは、「ちゃんとしなきゃ」っていう思いがどこかにあったのですが、世間とズレを感じることも多くて。映画の中では、とんでもない人たちがとんでもない作品を全力で作っている。それにめちゃくちゃ感動して、この世界に逃げ込んだんです。そういった意味で、この世界に入った時が印象深いターニングポイントです。