2021.03.25
# 鉄道

地方鉄道は今後も必要なのか?三陸沿岸の住民と鉄道関係者に聞いた「本当の声」

「命の道」三陸道開通で生活が変わった
川辺 謙一 プロフィール

三陸鉄道だけではカバーできない地域の交通

たしかに三陸鉄道の利用状況は特殊だ。筆者が宮古駅で平日の朝夕に発着する列車を観察したところ、乗降客の9割以上が高校生で、残りが高齢者。しかも1列車あたりの乗客数は最多でも約50人と、バスが2台あれば移動できる範囲の人数だ。

もちろん、鉄道がなくなれば、困る人もいるだろう。ただ、三陸鉄道の沿線には並行する道路が存在する。そこを通るバスがあれば、所要時間が少し長くなったとしても、輸送力では事足りてしまう。

この状況を知る別の鉄道関係者は、「三陸鉄道は観光鉄道だ」と言い切った。これは極論にも思えるが、宮古駅で見た利用状況や、三陸鉄道がコロナ禍前まで観光客で大きな収益を得ていた事実を照らし合わせると、あながち間違いとは言えない。

 

現在はコロナ禍による観光客減少の影響が重なっているので、三陸道のみの影響を分析するのは難しい。そもそも利用者のほとんどを占める高校生は三陸道とは無関係だ。ただし、三陸道の開通で人の流れが変わり、沿線を訪れる観光客が鉄道から自家用車やバスにシフトすれば、影響は避けられない。

このような三陸道が三陸鉄道を脅かす状況を、メディアはほとんど伝えていない。三陸鉄道は2013年にNHKで放送された連続テレビ小説『あまちゃん』の舞台にもなったこともあり、全国的に注目度が高く、復興のシンボルとして多くのメディアがその状況を報じている。

だが、三陸道はもう一つの復興のシンボルであるにもかかわらず、全国的には報じられておらず、知名度も低い。

それゆえ、全国的には三陸鉄道を応援する声がある。ただ、役所や病院、学校、スーパー、ショッピングモールなど、人々の移動の拠点となる施設は駅から離れている場合が多いので、三陸鉄道だけ復旧しても地域に必要な足は確保できない

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