森三中の大島美幸さん「”女芸人だから”にとらわれていると、自分自身が行き詰まってしまう」

激しい「いじめ」を受けた子ども時代
音部 美穂 プロフィール

もし自分の子どもがいじめられたら……

「子どもがいじめに巻き込まれるとしたら、いじめっ子といじめられっ子、どちらならマシか」。返答に困りそうないじわるな質問をぶつけてみると、大島さんは「いじめられっ子です」と即答した。

「もちろん、加害者にも被害者にもならないのがいちばんですが、どちらか選ばなければならないなら、いじめられっ子を選ぶでしょう。私自身、いじめを受けていた頃は毎日、消えてしまいたいと思いながら生きていました。自分の子どもが、誰かにそんな思いをさせるようなことは絶対に許せない。

一方で、できることならあの苦しみを息子に味わわせたくはありません。けれど、私の場合は、つらい経験によって弱い立場の人の気持ちを知ることができた。それは成長につながる経験だったといえます。

また、いじめっ子の側にも、家庭環境に恵まれていなかったり、安らげる場所がなくてそのストレスを発散させたりしているといった背景があるかもしれない。もちろん、いじめを擁護する気はないですし、どんな事情があろうといじめは絶対に許されないですが、いじめは画一的な目線で語ることができないものだと思うんです」

いじめが表面化すると、「どうしてもっと早く相談しなかったのか」と親や教師は言いがちだ。しかし、大島さん自身、親に明かせなかった経験から、誰にも相談できずに抱え込む人の気持ちは痛いほどわかるという。

 

「仮に息子がいじめを受けて苦しみを抱えていたら、その苦しさを知りたいとは思うけれど、無理に言わせたいとは思いません。親に明かすことでもっと苦しくなることもあると思うから。それに、親は先生に相談したり、学校を休ませたりなど対策はいろいろできると思うのですが、最終的に受けた傷を乗り越えるのは子ども自身なんですよね。

ただ、誰かに打ち明けることで楽になるのであれば、親に相談するという選択肢を持っていてもらいたいし、その時に全力で子どもを受け止められる自分でありたいと思っています」

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