アパレル業界の大量生産・大量廃棄という負のスパイラルに疑問を持ち、“木に実るダウン”と称されるカポックを武器に、新たな仕組みでファッション業界を盛り上げるブランド、カポックノット(KAPOK KNOT)。人にも地球にも優しい、今、ファッション業界でもっとも注目を集めるブランドについて2人に語っていただきます。

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本日のテーマ: カポックノットのヴィーガンダウン
Lesson1 強制しないサスティナビリティ
Lesson2 生産者と消費者の理想のサイクル
Lesson3 アパレル4.0時代の在り方
Lesso4 後継コミュニティだからできること

Lesson1
まずは、おしゃれや機能性。その後に
サスティナビリティを感じることが大切

「アパレル業界の大量生産、大量廃棄という課題に問題意識を持ちながらも、業界自体の根深い問題なので一人の力で変えることは難しい。もし変えるとしたら、根本的な素材などから変えていかなければ、家業も5年、10年で無くなってしまうと思ったんです」と老舗アパレル会社の4代目である深井喜翔さんの思いから生まれたカポックノット 。環境保全や動物福祉に配所されたコレクションを提案している。

軽量なのにダウンと同じ暖かさを実現し、高密度な撥水素材を使用したバルマカンコート。細身に見える縦長のシルエットで、様々なシーンで着られる一枚。カポックダウンバルマカンコート Women¥44000

中野 以前、深井さんに取材をしたら、このビジネスには素晴らしいところがいくつもありとても面白いなと感じました。なかでも押さえておきたいポイントが“強調しないサスティナビリティ”。ここの服を見て最初に飛び込んでくるのはまずデザインと機能性。薄くて暖かく、着心地がよくて、さらにおしゃれでステキだからという理由でカポックノット の服を選んで欲しい。その結果としてサスティナビリティがついてくることが重要だと、仰っていました。ちなみに、カポックは「中綿ではないのか?」という問い合わせがくることがあります。たしかに、綿も植物由来という点は共通しています。ただ、中綿は比重がかなり重く、そのためほとんどの衣料中綿はポリエステルに変わっているのが現状です。カポックと中綿の違いは軽さで、コットンの8分の1という比重です。重さが8倍違うとさすがに同じものとしてはくくれないかと思います。

 

森岡 見え方としてそれは正しいですね。サスティナビリティを1番最初に持ってくると、服を着る面白さやワクワク感を後回しにしてしまいます。それは、本来あるべきファッションにおいての優先順位が間違っていますよね。
中野 深井さんの言葉を借りれば、「サスティナビリティと現実の世界に乖離がある。そこをスムーズに橋渡しをしたいから、サスティナビリティをあえて打ち出さない」と。SDGsのバッジをつけてその気になっているのはかっこよくないですよね。やった気になっているだけの人が多い中で、それに対する抵抗があるのかなと感じます。あえてSDGsを謳わないけれど、前提としてその意識は持っている。もちろん、ファッションなので機能性とデザインが前面に来るべきだ、と。そこがとても進んでいますね。
森岡 世の中の流れについていっていると言いたいがためにサスティナビリティをこれみよがしに打ち出しているブランドは、次の段階になったときにふるいにかけられそうな気がします。やはりファッションは、着ていて楽しい、が優先事項であるべき。彼のやっていることというのは、1歩先を見ている感じがしますね。だから、応援したい気持ちになる。新しい風が吹き、門が開き、そこにみんなが共感する新しいサイクルが実現し始めているなという気がします。
——SDGsも次の段階に入っていると感じますね。
中野 完全にそうですね。そして、彼はこのダウンはサードウェーブだと言っていました。最初はアニマルのダウン、その次に石油由来のダウン、第三の波として植物由来のカポック。ちなみに、英語のdownは、鳥の羽毛だけでなくタンポポなどの植物の綿毛も意味しますので、カポックをダウンと称することは間違いではありません。ビジネスの在り方としては、“サスティナビリティ2.0”、次のステージに来ているなという印象ですね。
——SDGsを前面に推したものよりも、素直に欲しいと思えるおしゃれなもの、なおかつ環境に配慮しているものが出てくると嬉しいですね。買うことで、きちんと社会に参加している気持ちの満足感もあります。
中野 SDGsのバッジよりはるかにいいですね。社会貢献もそうですが、正義感で押し付けられるのは違うなと。ファッションは本来、主流の、既成の価値観に対して抵抗するものだと思うのです。だけど、時代として環境にも配慮しないといけないとなったときに、こういうアプローチが正しいのだと思います。