2021.04.03

「フェミニズム叩き」「女性叩き」で溜飲を下げても、決して「幸せにはなれない」理由

ベンジャミン・クリッツァー プロフィール

男女の「つらさ」の違い

女性という属性も男性という属性も、それぞれにつらさを感じているが、両者のつらさは性質が異なっている。

先述したように、この社会には女性差別がいまだに存在している。女性に対する差別は、制度に関わるものであることが多い。つらさの原因が制度的なものである場合には、個人でどう対応してもつらさは解消しきれない代わりに、制度を変えることでつらさの原因に根本から対処することができる。たとえば、入試のルールを公正にする、採用や昇進の際に男女で差別をおこなわないといった対応が考えられるだろう。

女性に比べると、男性のつらさは制度的なものというよりも実存的なものである側面が強い。たしかに男性のつらさのなかにも、再分配を手厚くするなど制度によって軽減できる種類のものもあるだろう。しかし、女性やパートナーがいないことによる孤独や承認の問題は、少なくとも近代的なルールを前提するならば、制度をどう変えても対処することは難しい。個々人が自分の人生に向きあいながら対応せざるを得ないものだ。

 

先述したように、そのつらさは、「考え方を変える」という程度で対処できるようなものではない。だからといって、一時的に溜飲を下げるために自分のつらさの責任を女性たちに負わせると、自分の人生はさらに楽しくなくなってしまう。弱者男性のつらさとは厄介で困難なものである。だからこそ、アマチュアに任せるのではなくアカデミックな世界で正面から向きあって扱われるべき問題であるのだ。

*1 『女と男のだましあい-ヒトの性行動の進化』(デヴィッド・M・バス/著、狩野秀之/訳、草思社、2000)、『進化心理学入門 (心理学エレメンタルズ)』(ジョン・H・カートライト/著、鈴木光太郎・河野和明/訳、新曜社、2005)など。
*2「稼ぐ女」と「稼げない男」は、なぜ結婚できないのか?」(荒川和久)

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