「亡くなったのは1月17日で、享年88。晩年は認知症の症状も出ていたらしいですが、年齢もあり、老衰だったようです。コロナ禍なので、葬儀も家族のみで行ったそうです」(森下氏の知人)
バブル紳士からの転落ということで、さぞや無惨な最期だったのではと思いきや、そうではなかったという。森下氏が晩年に通っていた理容院の店主が語る。
「ウチの床屋に来る際も、仕立てのいいスーツにネクタイを締め、ピカピカの靴を履かれていたのが印象的でした。ウチまではご自宅からわずか100mほどですが、いつも運転手つきの黒塗りの高級車でお越しになっていました」
アイチの倒産後も森下氏は絵画ビジネスなどを手掛け、カネには困っていなかったという。田園調布の家に住み続け、住み込みのお手伝いさんやお抱え運転手もいた。
都内に住む森下氏の長男に話を聞いた。
「本当はお別れの会を執り行う予定でしたが、開催できていません。まだ落ち着いておらず、申し訳ないですが、お話しできることはありません」
マムシはしぶとく、土の下で生き続けていた。
『週刊現代』2021年4月10日号より