マッカーサーや吉田茂が顧客だった、70年以上続く老舗テイラーのTAILOR&CLOTHS(テイラーアンドクロース)の3代目社長である隅谷彰宏氏。2001年からイタリアブランドの輸入代理店を始め、2016年に自社ブランドAUXCA TRUNK(オーカ・トランク)をスタート。極めて“普通の服”でありながら、相手に敬意を払える礼儀正しさも持ち合わせ、けして、服が一人歩きすることなく着る人の内面を引き出してくれる。新しい時代に寄り添うラグジュアリーなブランドとして2人に語っていただきます。
そもそも『JAXURY』とは?
FRaUが発信する、世界に誇れる日本の美しさ「JAXURY」を徹底解説!
>記事はこちら!
着る人も、対する人も、お互いに心地いい服
——2016年のコンセプトショップのオープンから始まり、現在は新宿伊勢丹で常設店舗として展開。50%近いリピートがあるブランドだそうです。森岡さんはブランド立ち上げのときにご協力されていて「理由のある服」というタイトルで、心に響く文章を、ブランドコンセプト文として寄せていらっしゃいます。おふたりは、オーカ・トランクのどの部分に共感されるのでしょうか?
中野 やはり、着心地のよさ、ではないでしょうか。先日、初めてグランピングで講義をする仕事を頂き、そのときに何を着たらいいのだろうかととても悩みました。そのような場でスーツを着るのも変だし、ジャージで仕事をするのもちょっと違う。そこで、オーカ・トランクのスーツを思い出したんです。ストレッチ性があり、スーツなのにジャージ感覚でスニーカーと合わせられる。袖をたくしあげても下品にならず、さらにはシワにもならないと、これはぴったりじゃないかと思い、パンツとジャケットをセットアップで購入しました。
森岡 ブランドのアイテムのなかでも、スーツはすごく評判がいい。とくに、一度手を通すとみなさんその着心地の良さに虜になる。スタイリングで使用すると、どこで購入できるのか、おしゃれで評判の方も聞いてくることが多いです。
中野 ラクなのに、肩の力が抜けた端正な雰囲気が表現できる感じですね。
森岡 スーツの固さから解放され、ある程度配慮している気分があるのに、カジュアルにTシャツ、スウェットパンツを着ているような気分で着こなせる。スニーカーも合わせられるスーツというところがいいのでしょうね。
中野 まさにそこです。相手へのリスペクトも表現しつつ、自分も楽で、心地がいい。正直、ハイヒールは時間がたつと表情が疲れてきますけど、その意味でもずっと心地よくいられますよね。相手を緊張させないのも今っぽいですし、お互いに心地よくいられるのがいいなと思います。
ヘルシーで、昼間に着たくなるwithコロナ服
右は、超細番手糸を使用したソフトで透けるような軽さのあるシャンブレーダンガリー。
タテ糸ヨコ糸に違う色の糸を使うことで角度によって色が違って見える玉虫効果があり、上品で高級感ある美しい表情。
中野 あと、私はこのブランドに健康的な雰囲気を感じました。今は、夜の集まりも少ないですし、ヒールよりスニーカーをはきたくなる気分です。スニーカーと一緒に着られるスーツという意味ではもちろん、人工的な色を作らないなど、漂う空気が健康的。その意味でのヘルシーな気分を感じます。