いじめで1年半の刑期と約100万円の罰金…フランスの学校が子どもを守る「これだけの対策」

安發 明子 プロフィール

加害者の退学処分についてはメディアでも現場でも度々論争になっている。

調査先の中学校の校長先生は「学校を移ることで新しく中学生活をやり直すことができ、嫌がらせをしなくなる子どもがほとんどで、かつその過程でサポート機関で手厚いケアを受けるので生徒にとってプラスに働くことが多い」と話す。

「いじめがあったかどうか」ではなく、嫌がらせをしたり、ちょっかいを出す子どもがいたら、その子どもの「うまくいっていないことがある症状」と捉えて家族丸ごとケアし、改善しない場合は環境自体を変える。

「警察・司法・教育」がセットで子どもを守る

フランスでも学校での嫌がらせは問題の1つであるが、子どもを守るために警察・司法・教育がセットになって動いている。警察の特別部隊である未成年保護班は年間7万件の未成年間の嫌がらせを扱っている。

映画『パリ警視庁:未成年保護部隊』(2011)ポスター
 

筆者はパリの北にあるセーヌ・サン・ドニ県の中学校で警察が毎年全クラスで行っている講習に同行した。

「学校ハラスメントは6〜18ヶ月の刑期と94万円の罰金」「サイバーハラスメントは18ヶ月の刑期と94万円の罰金」と生徒たちに法律を確認し、実際に警察署で対応した事例を紹介して生徒たちと話し合う。

警察からは事例を紹介し「クラスメイトの着替えを盗撮してSNSにアップした」「仲間の喧嘩をSNSに載せて、映っている加害者も、撮影し投稿した人も処罰された」「SNSにクラスメイトのことを『バカ』と書いたり噂話を書き込み裁判所で『法律の確認』を受けた」件について意見を求め、生徒からは自身が見聞きした事例について「こういう場合は罪になる?」「どう対応するべき?」と質問が相次いだ。

校長は、学内外で生徒間のトラブルがあり病院に連れて行く必要があったとき、生徒が暴力を受けたとわかったとき、親から学校への攻撃的な発言があったときなど警察と県の担当部署へ規定の書式に書きEメールで報告する義務がある。

受け取った警察は校長に即日電話し、未成年の被害者がいる場合は子ども専門裁判官に連絡し行政上の記録に止めるか捜査を開始するか指示を受け、未成年の被害者がいない場合は学校内で対応するか警察が動くか決める。

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