2021.05.12
# 日本 # 本

多くの人が意外と知らない…「スピリチュアリティ」とは何か、古くて新しい“その正体”

岡本 亮輔 プロフィール

サンマーク出版からは疑似科学的な書籍の刊行が目立つ。1979年には、精神科医の大学教授による『母原病──母親が原因でふえる子どもの異常』が刊行された。子供の非行や不登校、さらには風邪をひきやすいといった体質まで、全ての原因が幼少期の母親の子育てや母子関係にあると主張するもので、80万部のベストセラーとなった。

さらに広く読まれたのが『脳内革命』(1995)だ。こちらも現役の医師が、西洋医学と東洋医学を融合した観点から、前向きに生きることで脳内モルヒネの分泌が増え、健康増進することを説いたものだ。ポジティブ・シンキングの潮流に棹差すもので、続編と合わせて500万部を超えた。

そして、ワン・パブリッシングが現在も刊行し続ける雑誌『ムー』は、オカルト文化を中心に、精神世界の広がりに大きく貢献した媒体だ。「精神世界の旅」連載でも特集されているが、1985年当時、公称35万部を売り上げた。当初は学習雑誌の中の息抜きとして世界七不思議や異星人の話を取り入れたが、読者の多くを占めていた中高生から予想外の反響を呼び、専門誌として1979年に創刊された。

創刊号では、異星人、超常現象、吸血鬼、ブラックホールなどが扱われ、その後も黒魔術、ドッペルゲンガー、超古代文明、風水などを特集している。その姿勢は現在も一貫しており、2020年代の現在も、オーパーツ、アトランティス文明、第三次世界大戦、ピラミッド超科学、地球空洞説、粘菌生命体などを取り上げている。

 

山川夫妻の活躍

出版社ではないが、精神世界を考える上では、山川紘矢(1941〜)・亜希子(1943〜)夫妻が果たした役割も特筆に値する。夫妻そろって東京大学を卒業したのち、それぞれ旧大蔵省と外資系の会社に勤務するが、米国勤務の際、シャーリー・マクレーン(1934〜)の著作『アウト・オン・ア・リム』(原著は1983年刊行)と出会う。ニューエイジ文化のバイブルとされる作品だ。ハリウッド女優として知名度抜群のマクレーンが、自分の不倫の原因を前世に求め、幽体離脱や宇宙人との出会いを語ったインパクトは大きく、世界的ベストセラーとなった。

そして、感銘を受けた山川夫妻が同書を邦訳したいと思うと、版権取得などの手続きが滞りなく進み、翻訳作業も初めてだったが、まるで言葉が降ってくるようにスムーズだった。こうして、夫妻は精神世界の普及が自分たちの天命だと感じるようになり、翻訳業に専念するようになったのである。

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