2021.05.24

いよいよ万事休すか…? 日米の「対中国対策プログラム」で中国を待ち受けるシナリオ

中国の対外政策をことごとく否定

4月16日、アメリカのバイデン大統領は、就任後初めてとなる対面での首脳会談の相手として、日本の菅義偉首相を迎えた。他の並み居る国々を抑え、日本が選ばれた理由は明確だ。すなわち、台頭著しい中国への牽制だろう。

トランプ政権の時代からすでに予兆はあったが、アメリカの中国に対する警戒感は、歴史上類を見ないレベルにまで引き上げられていると考えていい。来月には、バイデン大統領と韓国の文在寅大統領の会談も予定されており、ここからもアメリカの対中国強硬姿勢がうかがわれる。

Photo by gettyimages
 

それは、今回発表された共同声明の内容を読み込むと、より明確になる。順を追って見てみよう。

まず、安全保障面では、日米同盟とともに、「クアッド」(日米豪印戦略対話)も前面に押し出しつつ、新疆ウイグル自治区や南シナ海、香港、台湾、尖閣諸島の地名を列挙して、東シナ海のパワーバランスを脅かしている中国の動きを強く牽制した。これが、中国にとって今回の共同声明のなかでもっとも嫌な内容だったはずだ。

何しろ、中国が国家戦略に取り込んでいた対外政策を、ことごとく否定しているからだ。

中国の反応は早かった。

まず在米中国大使館が「中国の根本利益に関わる問題で、干渉することは許されない」と談話を発表。間髪を入れず、中国外務省も「(日本とアメリカは)口では『自由で開かれた』と唱えているが、実際には結託して小さなグループを作り、対立をあおっている」と強い反発を露にした。

また、経済面においても、知的財産権の侵害や強制技術移転、過剰生産能力の問題など、明らかに中国が抱える問題を意識した内容が多数盛り込まれていた。こうしてみると、今回の日米首脳共同声明は、実質的には「対中国対策プログラム」だったといえる。

果たして日米両国は、中国の今後の動きをどのように分析しているのだろうか。筆者は、社会科学における2つの法則から、それが予想できると考えている。

1つ目は、開発経済学における「中所得国の罠」だ。

これは一種の経験則のようなもので、「発展途上国は一定の中所得までは順調に経済発展するが、その後は成長が鈍化する」というものだ。ある一定以上のレベルの民主主義が根付いた国にならないと、一人当たりGDPは長期的には1万ドルを超えにくく、頭打ちになる。

 

もう1つが、国際政治学における「民主的平和論」だ。2つの国が双方ともに民主主義国の場合は、戦争はめったに起こらない。

しかし、もし一方の国が非民主主義国の場合には、戦争のリスクが一気に高まる。

この2つの法則から考えると、中国は遅かれ早かれ経済成長の踊り場に達する。そして、習近平政権は現在の成長スピードを維持するために、対外進出を図るだろう。その対象は、台湾か尖閣諸島のいずれかになる。

今回の日米首脳の共同声明は、そう遠くない未来に起こるであろう、こうした中国の動きに備えるものだったと言える。

『週刊現代』2021年5月1・8日号より

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