2021.05.04
# 新型コロナウイルス

アメリカで「ワクチン接種数」が“頭打ち”…? これは数ヵ月後の日本の姿かもしれない

安部 かすみ プロフィール

ワクチン反対派の言い分

一方で気になるニュースもある。今日までスピード感を持って進められてきたワクチン接種だが、4月半ば以降の速度が緩やかになってきている。ここにきて接種拡大数の頭打ちが懸念されているのだ。

パンデミックを食い止めるには、多くの人が足並みを揃えてワクチン接種をする「協調的キャンペーン」が必要と言われている。

感染症専門のアンソニー・ファウチ医師は、アメリカの70%~85%の人々にワクチン接種が行き渡れば集団免疫を獲得でき、「以前の生活」「正常な状態」に戻ることができると述べている。

アメリカでは4月半ばのピーク時で、1日あたりの接種数は平均約275万回を超えた。このペースでいくと、人口の75%をカバーするにはあと3ヵ月ほどの計算だ。しかし、青写真通りにこのパンデミックが今夏で収束するのかと言われると、少し疑問が残る。

 

まだ接種をしていないのは、比較的若年層や基礎疾患がない健康体の人、科学的根拠や政府を信じない人、普段人と接触することがない職種の人などだ。

また、共和党支持派の男性や地方在住者は接種を考えていない傾向があると言われている。実際、米マンモス大学やクイニピアック大学が4月に行った調査でも共和党員の40%以上が「接種しない」「予定がない」と答えている。

最新の調査では、アメリカ国内の4人に1人が、ワクチン接種の対象になっても接種をするつもりはなく、さらに5%の人々は接種について未定と答えた。 筆者の周りでも、若い世代の人から「接種した」という話があまり聞こえてこない。

接種を受けない理由として、「自分は健康だから不要」や、ソーシャルメディアで共有される虚偽または誤解を招く情報に影響を受けたことにより「合併症や副作用への恐れ」、長期的な影響について不明点が多いことから「しばらく様子を見たい」などがある。

民主党寄りであるニューヨーク州でさえ、マスクやワクチン反対派が、スポーツ試合の会場前で、デモを繰り広げる姿を見かける。

大会場でのスポーツ観戦には、新型コロナの陰性判定やワクチン接種済みの証明書の提示が義務づけられていることが多いが、デモ隊の人々に話を聞くと「マスクは呼吸が苦しくなる」「日光を浴びてビタミンDを生成できればワクチンを打たなくても病気にならない」「マスク着用やワクチン接種は個人の自由であり強要はできない」「ワクチンパスポート、アプリ、QRコードなどで健康という個人情報を管理なんてけしからん」「ワクチンを打っていない人の差別につながる」というのが反対派の言い分だ。

スポーツ会場前で行われている、反ワクチン&マスク派の抗議活動。「ワクチンの強要をやめろ」というメッセージを掲げている(筆者撮影)
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