また誰かが死ぬかもしれない…多くの人がまだまだ知らない「入管の衝撃実態」

未検証の死、「国に帰れ!」との言葉も…
織田 朝日 プロフィール

また2月には東京入管で職員6名、男性被収容者105名中58名のコロナ感染者を出している。これだけでも大問題のはずだが、感染者は望む治療を受けられるわけでもなく、個室に閉じ込められ、後はずっと放置されている状態だったと言う。彼らは、「自分もスリランカの女性のように死んでもおかしくなかった」と証言する。

入管の裁判所を介さない無期限収容、その処遇の劣悪さは、国連から再三、勧告を受けているが一向に是正する気配がない。職員による制圧という名目の集団リンチも当事者から裁判をかけられている有様だ。

また仮放免をされたとしても、住民票、保険証を得られず、就労も許可されず、自分の暮らす県から許可なく出ることは許されない。2ヵ月に一度、仮放免延長のため出頭しなければならないが、そのたびに「国に帰れ!」と高圧的に迫られるという話は少なくない。

東京入管総務課は、「退去強制が出ているのに帰らないからいけない。だから(入管は)何をしても構わない」という趣旨の回答をしている。

人としての扱いをうけない屈辱的な状況であっても、帰れない人は頭を抱えるしかない。

難民や、ビザがなくてもおおっぴらに労働できていた時代(1980・90年代)から在留している移民、日本に生活基盤を持つ人や、日本人の配偶者または家族のいる人、何らかの事件、事故に巻き込まれた人、配偶者と離婚、死別をしたためビザを失った人、日本生まれの子供たち、などである。本来なら在留資格があっても良い人たちなのに、そうではない。

過去10年間に、強制退去命令が出て帰国を余儀なくされた人たちは、非正規滞在者の97%(強制退去令書発付件数にたいする送還された人数の比率)。帰国できない事情がある人たちは、残りの3%だ。そのわずかな人たちすら、入管は無理やり帰そうとしている。

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