「マンガや小説にお金を使わない中高生」を、どう受け止めるべきか?

「いま・ここ」という新しい受容の文脈
大橋 崇行 プロフィール

しかし、このような現代の子どもたちとコンテンツとの関わりを考えるときに重要なのは、彼女ら、彼らは大人たちが想像するよりもずっとしたたかに、「いま・ここ」「目の前」にあるコンテンツを受容している点である。

無料から生まれる文化と、TRPGの復活

コンテンツが無料化したことで顕著に見られるようになったことの一つは、そのコンテンツが制作された年代を気にかけずに、中高生が「いま・ここ」「目の前」にあるコンテンツを受容するようになったという現象だ。

2021年2月にSNSで話題になった札幌新川高校の女子高校生テクノポップユニット「LAUSBUB(ラウスバブ)」は、1970年代から80年代風のオリジナルテクノポップを公開している。

動画投稿サイトで、その時期に活躍したYMO(イエロー・マジック・オーケストラ)という音楽グループの動画に出会ったことがきっかけだという。現代のコンテンツが無料であることが非常に有効に働き、新たな創作意欲をかき立てた事例だ。

YMOのメンバー。左から坂本龍一、高橋幸宏、細野晴臣[Photo by gettyimages]
 

また、ネットで保護者と一緒に動画を見たことで、1980年代から90年代のアニメーションにハマるという大学生のケースもよく耳にする。こうしたコンテンツへの触れ方が、ここ数年非常に顕著になってきている。コンテンツが制作年代を問わずに配信されることで時間軸がフラット化し、時間を超えて受容されるようになってきているのだ。

そうしたコンテンツの受容状況の中で異彩を放っているのが、特に2010年代の終わりから西日本を中心に中高生のあいだで起こっている、TRPG(テーブルトーク・ロールプレイングゲーム)ブームの復活である。

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