2021.05.23
# エンタメ

ダウンタウン大成功のウラで、「新人類・バブル世代」は一番苦しい世代でもあった

原田 曜平, ラリー遠田 プロフィール

ラリー:ダウンタウンは第三世代に属すると言われているんですけど、これは「新人類世代」とほぼ重なるんですよね。やっぱり「世代論=若者論」みたいなところがあるじゃないですか。それがお笑いの分野で出てきたのが第七世代であり、さかのぼると第三世代だったと思うんですよね。

「新人類」っていう言葉が使われるようになったのは、当時の年配の人たちが若者を見ていて「これはもう古い時代の人類とは別物だぞ」と感じていたからじゃないですか。新人類世代の人は伝統の呪縛から逃れて、ただ面白ければいいじゃん、っていうある種、軽薄な文化を生み出していったんです。

ラリー遠田著『お笑い世代論』より
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原田:そうだと思います。とんねるずもそんな感じでしたもんね。有名な話ですけど、プロ野球でも西武ライオンズが優勝したときに、工藤(公康)さんや渡辺久信さんが胴上げしないでテレビに映ろうとジャンプしていたっていう。縦社会のプロ野球の世界では、それはびっくりな出来事だったわけです。

あの時代を振り返ってみると、実はまだすごく古い社会が残っていて、管理教育も厳しくて、体罰とかもすさまじかったんですよね。でも、そこから経済は良くなっていって、日本全体が自信をつけて「俺たちは何でもできる!」っていう万能感を持ちやすかった。

そんな時代に社会からはすごく押し込められていたから、バーンっていろいろな業界で爆発した人が出てきた。尾崎豊もそうかもしれないし。

ラリー:たぶんそうやってお笑い以外のジャンルでも同じようなことが起こっていたんでしょうね。

 

いちばん苦しい世代?

原田:ただ、読者の方で気を悪くする人がいるかもしれないですけど、新人類世代・バブル世代は、今の会社では「使えない」と言われていることが多いんです。大量採用時代だったので純粋に数も多いし。

でも、彼らも彼らでかわいそうなところもあって。会社には楽に入れたんだけど、管理職のポストを減らされたり、ひどい会社だとリストラに遭ったりしている。でも、やっぱり時代はすごく良かったので、松本さんもそうですけど、失敗も含めていろいろなことにチャレンジできたわけじゃないですか。

だから、新人類・バブル世代は今でも割と「こんなことやりたい、あんなことやりたい」って大風呂敷を広げるタイプが多いんですよ。でも、もっと現実的になっている下の世代からすると「いやいや、あいつ、何やりたいことだけ並べて飲みに行っちゃってるの」って思われたりする。それで会社ではお荷物になっちゃう、っていうのがこの10年ぐらい続いています。

だから、松本さんみたいに大成功された方はいいんでしょうけど、大して才能のない新人類・バブル世代というのは、下からリスペクトされずに辛い思いをしているんじゃないですかね。

ラリー:なるほど。そういう意味ではいちばん苦しい世代なのかもしれないですね。

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