いつか自分もロミオを!

その2年後、『ロミオ&ジュリエット』のオーディションで、ロミオの親友・マーキューシオ役に選ばれ、2019年は3ヶ月にわたり、東京・愛知・大阪での公演を完走した。

「『ロミオ&ジュリエット』の19年版に出演させていただいたときは、古川(雄大)くん、大野(拓朗)くんのロミオをごく近くで見つめながら、ロミオ役に嫉妬していました(笑)。“ロミオってなんて素敵なんだろう!”って思うことがめちゃくちゃ多くて。もちろん演じているときはマーキューシオに集中するんですが、幕が降りるたびに、『いつか自分もロミオを!』と思うようになって。先ほどもお話しした通り、仲間を引っ張っていくことが好きな僕にとって、座組みを引っ張っていく作業も、自分にも適度なプレッシャーを与えられて好きなのかもしれない。プレッシャーを、やる気に転換させることが割と得意なんです」

撮影/岸本絢
 

誰かの沈んだ気持ちを浮上させることができる仕事

20年には、ミュージカル『エリザベート』やミュージカル『るろうに剣心 京都編』への出演が決まっていたが、新型コロナウイルス感染症の影響で、どちらの作品も中止となってしまった。

「去年は2本も楽しみにしていた大きな舞台が中止になってしまった上に、僕自身が新型コロナウイルスに感染して、入院生活を余儀なくされました。プレッシャーに強いはずの僕も、さすがに落ち込みましたが、そんな沈みがちな心を癒してくれたのが、小さな画面を通してですが、好きな舞台や映画を観ることでした。自分が身を投じている仕事に、自分自身が救われることになって、改めて、すごい仕事に携わっているんだな、と。誰かの心を癒し、感情に共鳴して、明日の生きる活力になる。俳優というのは、暗く沈んだ気持ちを浮上させることができる仕事なんだな、ということを再確認できた1年でした」

今回のロミオ役に万全の体調で挑むために、去年の秋頃から、人生初のジム通いも始めた。ジムでは、キックボクシングに水泳にマシンエクササイズを中心に、体のあらゆるパーツと対話し、向き合っている。食事にも気を使うようになり、プロテインを積極的に摂るようになったほか、今年になってからは、一定期間、半日断食にも挑戦した。「結果、28年生きてきて今が一番健康体です。でも、本当のことを言うと、一番体力がつくのは舞台の稽古なんですけどね」と爽やかな笑顔を見せた。