グレタ・トゥーンベリさんの存在が、絶望的な気持ちを救ってくれた
美しき自然に恵まれた秩父で生まれ育ったあすかさんが、環境問題に関心を持ったのは、小学生の頃にさかのぼる。童話の名作「ドリトル先生物語」を通じて動物福祉について知識を得るうちに、環境問題にたどり着いたのだと話す。
「環境問題についてもっと知りたいと思い、10歳の誕生日に祖母にねだって『地球環境図鑑』を買ってもらいました。世界の環境問題を基礎から分かりやすく解説している図鑑で、そこには地球上で起こる環境にまつわる事実が書き記されていて、かなり衝撃を受けたのを覚えています。その後、何度も繰り返し読み込んでいるうちに、次第に将来は環境保全に関わる仕事に就きたいと思うようになりました」
さっそく環境保全に関わる職種をネットで探したが、自然保護センターの管理人やガイドはヒットしたものの、あすかさんが求めるような「環境破壊を食い止めることに直結するような仕事」というものは、見つけられなかった。そして、本やネットを通じ、温暖化による気候変動のことなど、さらに学びを深めていくうちに、だんだん自身の無力さを感じはじめ「私が何かしたところで解決できる問題ではない」と、歩みを止めてしまったという。

「小学生だった私は、自分ひとりの力では無理だと思い込んでしまって……。とはいえ興味がなくなったわけではなかったので、その後も近所のごみ拾いなどは続けていました。そんな中、『気候行動サミット』でのグレタ・トゥーンベリさんの演説を目にして。その勇気ある姿から『たった一人の行動からでも世界はきっと変わる』そう強く感じ、再び行動を移すことにしたんです」
両親が環境課題に熱心だったわけでもなかったあすかさんを環境問題に導いたのは、身のまわりにある本だった。そして、「何か疑問を抱いたら、答えを突き止めないと気が済まない」という性格が後押しして、一刻も早く行動しなければと大学進学を見送り、今こうしてひとり海洋プラスチックごみ問題に立ち向かっている。