東証出身者の「天下り」が続く平和不動産、いよいよ「タブー」が破られた…!

6月24日の株主総会に大注目

「兜町の地主」にして「証券取引所の大家」である平和不動産が、アクティビスト(物言う株主)に揺さぶられ、不動産ファンドに狙われ、岐路に立たされている。

「平和不動産は、終戦直後(47年)、全国証券取引所の不動産管理会社として設立され、家賃収入を元にした手堅い経営で知られる。その分、地味で注目されないけど、それが証券市場の安定にもつながると評されてきた。そこに異議を突きつけたのが香港ファンドのリム・アドバイザーズ。『東証(東京証券取引所)出身者の天下りを許すな』などと株主提案。『兜町のタブー』を突いた」(証券幹部)

平和不動産の公式サイトより
 

東証が、金融庁とともにコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)を策定、改革の旗振り役を担ってきたことを考えれば、「ダブルスタンダード」「ご都合主義」と指摘されてもおかしくはない。

「店子」である東証が、「大家」の平和不動産に4代にわたって社長を送り続け、4名の社外取締役を除く5名の社内取締役のうち3名を東証出身者で固めているのは、コーポレートガバナンスの観点から不適当ではないか。

そもそも不動産会社のトップに、なぜ取引所出身者が座っているのか。

3つの要求

リム社は、6月24日に開催される株主総会に向けて、そうした人事慣行が株価を押し下げていると指摘、株主提案として次の3点要求した。

1. (東証を傘下に治める)日本取引所グループ(JPX)関係者の天下り禁止。

提案理由――東証出身者を社長や取締役に迎えた結果、東証ビル賃料は最近15年間で38%下落。一坪当たり賃料でも周辺地域に比較して29%も下回る。これはテナントの東証出身者が天下りする利益相反関係に起因するといわざるを得ない。

2. 社外を除く取締役の3分の2以上は不動産投資を含む実務経験者に。

提案理由――東証からの天下り人材は、不動産事業とは直接、関係のない事業に従事していた。また、社外取締役には不動産事業経験者は含まれていない。これは、不動産を本業としている会社の取締役会としては、関連の専門知識・経験が不足しているといわざるを得ない。

 

3. 政策保有株式として保有する全JPX株の売却。

提案理由――20年3月末現在、28銘柄128億2000万円の政策保有株式を保有。なかでもJPX株式は61億1300万円と約半分を占める。その理由として「東証との関係強化」を挙げているが、実際は、天下り慣行のもと東証ビル賃料は低下を続けており、保有の意義が見いだせない。

リム社は、「天下り」「専門家不足」「株の持ち合い」が株主利益を損なっており、20年9月末時点での1株当たりNAV(正味資産価値)が5249円であるところ、(提案時点の)4月16日終値株価3655円(5月18日終値は4135円)と、30%割り引かれる原因となっている、と指摘する。

これに対して平和不動産は、5月14日に開催した取締役会で反対を決議した。1については、「指名委員会でプロセスの客観性、適時性、透明性の確保を図り選定している」とし、2については「過去最高益を更新、配当金も3倍増で株価も上昇。指摘には当たらない」とし、3については「政策保有株式の縮減に取り組むことは既に公表。ただ定款への規定には反対」としている。

 

2と3はともかく、「JPX出身者の天下り禁止」については要領を得ない。

「店子」が「大家」の社長に就けば、家賃を上げにくい、という子供にもわかる利益相反行為と、社長選定プロセスの客観性、適時性、透明性は、あまり関係がない。

漂流する東芝は、西室泰三、西田厚聰といった実力派会長が、経団連会長ポスト狙いで人事を私物化したことが凋落原因のひとつとされているが、東芝は委員会等設置を初期に導入、指名委員会で取締役を決めるコーポレートガバナンスの優等生だった。

その東芝のように、システムが整っていても機能しない例はヤマほどあり、平和不動産もその轍を踏んでいる。

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