コロナによる「社会的孤立者」の増加、男性と高齢者で顕著に!

全国インターネット調査で判明

SNSでのつながりがあればOKか?

コロナ禍で失われがちな人との現実のつながりを補うものとして期待されているのが、オンラインでのバーチャルのつながりです。特にソーシャルネットワーキングサービス(以下、SNS)は、国内における普及率が80%以上といわれています。

今やSNSを通したつながりは、現代人にとって人とつながるためになくてはならないものになっています。皆さんの中には、「SNSでつながっているから、煩わしい現実のつながりなんてなくても大丈夫」と思っている人もいるかもしれません。果たして、SNSを通したつながりは、本当に現実のつながりに取って代わることができるのでしょうか。

筆者らは、中高年者を主なターゲットとしたSNSの登録会員を対象に行った調査で、SNSの代表格であるフェイスブック(以下、FB)を介したつながりの実情を調べました。FBのアカウントを持ち、かつ、40歳以上の2,320人に対して、「FB上の友達の数」「FB友達の中で、実際に親密な付き合いをしている人の数」「FB友達の中で、困った時にあなたを助けてくれそうな人の数」について尋ね、その関係を分析しました。

FB友達数の平均は96.3人で、そのうち、実際に親密な付き合いをしている人は8.4人、困った時にあなたを助けてくれそうな人は3.5人でした。それぞれの相関を調べてみると、FB友達数が多いほど、その中で親密な付き合いをしている人の数も多い傾向がありました。しかし面白いことに、困った時にあなたを助けてくれそうな人についてみてみると、FB友達数500人までは友達数と困った時にあなたを助けてくれそうな人の数は相関があるのですが、501人以上になると困った時にあなたを助けてくれそうな人の数は上がり止まっていました。

フェイスブックを介した人間関係の調査

人間関係はメンテナンスが必要

人との関係は、一度知り合いになったからといって、永続的につながれるわけではありません。例えば、相手の事を理解しようとしたり、普段から何気ないやり取りをしたりと、ある程度の時間と労力を割いて、関係を定期的にメンテナンスしていく必要があります。SNSでの友達が多くても、困った時に助けてくれるような実際に機能する相手は一部に限られてしまうということなのです。

SNSはつながりをつくるための強力なツールです。しかし、現実のつながりを補完する、あるいはすでにある実際のつながりを強化する働きはあれど、現実のつながりを完全に代替できるものではなさそうです。良い面も悪い面も、そして限界もあるということを覚えておいた方が良いでしょう。

社会的孤立は、その人個人の要因によってのみ引き起こされる問題ではありません。例えば、今回の新型コロナという外的な要因によっても誰しもが孤立してしまう可能性があるのです。

また、現実のつながりを代替するものを準備すれば解決するような問題でもありません。深刻化する社会的孤立について、私たち一人一人が正しく認識し、家族で、友人関係の中で、職場で、地域で何ができるか考えてみることが大切です。