さらに、「ワクチン接種はロジスティック上の問題でさらに遅延している」とし、日本では医師や看護師しか注射できないという問題や自治体が接種券を配り、予約を取ってからではないと接種できないというプロセスに言及、「その結果、日本は、輸入した1700万回分のワクチン中440万回分しか使っていない」と指摘している。
安倍政権の問題
『ジャパナイゼーション 日本の「失われた数十年」から、世界は何を学べるのか』の著者ウィリアム・ペセック氏は、ワシントン・ポスト(5月4日)で、日本のワクチン接種が遅れた原因を安倍晋三政権に見出している。
「安倍氏は経済を完全に改革すると公約した。日本の非常に低い(ワクチン)接種率は、まさしく、彼の公約がしらじらしかったという最新の証拠だ。安倍政権は、島国性、官僚主義、政治家の慢心、透明性の欠如、海外のアイデアに対する嫌悪感を改革すると約束したが、それはまだ、今の日本にも大いに存在している。国民のフラストレーションは高まっている。もし、安倍氏や今の菅氏が、労働市場の国際化やイノベーションに対するインセンティブの付与、女性のエンパワメント、官僚改革に早期に取り組んでいたら、日本のワクチン接種率は世界最下位ではないかもしれない」
ペセック氏の主張からは、昔ながらの日本のルールを盲信し続ける日本政府の姿――横並びの姿勢や透明性の欠如、官僚組織を横断して対策を立てる能力がないこと――が浮かび上がってくる。