「東京五輪はウイルスの“培養皿”になる」、世界は「日本と五輪のヤバさ」をこう報じている

飯塚 真紀子 プロフィール

レーガン政権時代に商務長官特別補佐官を務めた経済戦略研究所所長のクライド・プレストウィッツ氏はかつて、規制に固執し、人々がお互いの目を意識し続ける日本の状況をこう嘆いていた。

「日本には、まるで、日本という宗教があるようだ」

 

IOCに何も言えない

日本政府の“日本という宗教”に対する盲信は、IOCに対する態度にも現れている。“日本教”では、上にいる“IOC様”に物申せないのである。そんな日本に、物申すよう激励してくれたのが、前述のサリー・ジェンキンス氏だ。前出のワシントンポストの記事の中で同氏は訴えた。

「日本は五輪開催に同意したとき、主権まで放棄したわけではない。東京での夏季五輪開催が国益を脅かすのなら、日本の指導者たちはIOCに対し、略奪はよその国へ行ってしてくれと言うべきだ」

同氏が略奪と言っているのは、IOCが開催国に国家的建設プロジェクト並みの資金的負担を求めているからだ。そして、そこからまんまと莫大な収益を得ているのはIOCであると暴露している。

そのため、同氏はバッハ会長を「ぼったくり男爵」と揶揄し、これまで、バルセロナ、ボストン、ブダペスト、ダボス、ハンブルク、クラクフ、ミュンヘン、オスロ、ローマ、ストックホルム、トロントなどがそんな「ぼったくり男爵」に「ノー」を叩きつけてきたことを教えている。「日本の指導者たちは今すぐに損切りすべきだ。この取引からさっぱり手を引くべきなのだ」と同氏は五輪中止を強く訴えている。

五輪での「選手の家族」の問題も議論になり始めた。

NBCスポーツは「セリーナ・ウィリアムスはオリンピック参加の資格があるが、彼女は東京に行くのか?」という記事(5月15日)の中で、それを示唆している。

背後には東京五輪委員会が感染防止のためアスリートの家族同伴を認めていない状況がある。それについて、NBCスポーツは、「オーガナイザーはまだ、小さな子供を抱えるアスリートは例外とするか公式には発表していない」とし、子供と一緒にいたいと主張するウィリアムス氏の「3歳の我が子なしでは、私は機能できない。落ち込むと思う。毎日一緒にいるんだもの」というコメントや、USオリンピックマラソンのトライアルで優勝し1月に娘を出産したばかりのアリフィン・トゥリアムク氏の「パートナーのティムと娘の来場も認めてほしいわ。娘がいなかったら、絶対、走れない」といったコメントを伝えている。

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