家族の存在は、パフォーマンスがメンタルの影響を大きく受けるアスリートにとっては、成績を左右するきわめて重要な要素だ。家族が同伴できないとなったら、オリンピック参加を辞退する選手が出てくる可能性もあるのではないか。
海外でも注目された「タケヤリ広告」
また、“日本という宗教”は自国民に対して無慈悲でもある。
アメリカの非営利公共ラジオ局「ナショナル・パブリック・ラジオ」は、5月14日、「ワクチンもない。クスリもない。タケヤリで戦えというのか。このままじゃ、政治に殺される」というコピーと子供たちが米軍と戦うために竹槍の訓練をしている第二次大戦中のイラスト入りの宝島社の全面広告が3大新聞に掲載されたことを報じ、
「そのイラストは、勝つ見込みがないのに、穢れなき命を犠牲にしている無慈悲な政府を思い起こさせている」
と皮肉っている。この広告について、日本では賛否がわかれたが、海外のメディアにこう受け止められていることにはよく注意しておいたほうがいい。
では、“日本という宗教”が最も重視しているものは何なのか? 海外では「日本が重視しているもの」は何だと考えられているのか?
それを教えてくれたのは前述のジュールズ・ボイコフ氏だ。同氏は、米紙ニューヨーク・タイムズの記事の中で、東京五輪が強行開催されようとしている3つの理由について、「金、金、金」と言い切っている。1にも2にも3にも金というわけだ。そして「そんな金の多くを吸い上げるのは、アスリートではなく、運営側や放送局、スポンサー側だ」と指摘している。そこからは、一般の国民が特権階級の犠牲になっている現状が浮かび上がる。
そして、パンデミックが金より大切な何かを教えており、そのことに特権階級たちは気づいてほしいと訴える。
「パンデミックが我々に何か教えてくれているとしたら、それは、友情や家族、友達、公衆衛生が金より大切ということだ」