「勤勉な国」というイメージの強いドイツでは、月~金曜日を「平日」と呼ばない――20年以上も現地で勤務してきた隅田貫氏は、そこに「日独の労働観の違いが表れている」と話します。生産性が日本の1.4倍であるドイツの「働き方」について、新刊『ドイツではそんなに働かない』から、一部編集のうえご紹介します。
労働時間が短く、生産性は高い
私は通算約20年ドイツで暮らし、仕事をしてきました。
一流のビジネスパーソンと共に働き、また、ドイツ国民の中で生活し、自身の働き方にも大いに影響を受けるなどし……そうした経験を通じて、そのヒントをつかみました。
OECD(経済協力開発機構)の2018年のデータによると、日本の1人当たり年間総実労働時間は1680時間。ドイツは1363時間で、317時間も日本より少なくなっています。1日8時間労働で換算すると、日本は1年で約40日間もドイツより多く働いていることになるのです。

ただ、1680時間は年間平均休暇日数を120日で計算した場合(1680時間÷245日=6.86時間/日)、1日平均7時間弱の労働ということになりますので、「1680時間」にはサービス残業の時間が含まれていないことにも注意が必要です。実際には、3000時間を超える人も多いと言われています。
さらに、「国内総生産(GDP)」は、日本は3位でドイツは4位ですが、「1人当たり名目国内総生産(GDP)」になると、世界の中で日本は24位、ドイツは10位と順位が逆転します(2019年/ OECD Data)。つまり、日本はドイツより長時間労働をして、ドイツより1人当たりが生み出すGDPは低いのです……。