日本とドイツの違いはどこにあるのか――常に考えてきましたが、働くということに対する考え方や、生活の姿勢がもっとも大きな違いだと感じています。
労働時間の問題や、生産性向上が国民共通の課題になっているいま、ドイツを参考にすることは決してムダにはならないと思います。
消費者重視の日本、労働者重視のドイツ
ドイツと日本は意外と共通点があります。
ドイツも日本も同じ敗戦国ですし、敗戦後は工業立国として発展してきました。両国ともモノづくりが得意なのです。
ドイツがEUで一人勝ちしてきた理由の一つは、モノづくりのクオリティを追求してきたことです。
世界的に安全性が信頼されている車は、日本車か、ドイツのベンツやフォルクスワーゲン、BMWやアウディです。ライカもドイツ生まれのカメラメーカーですし、家電のミーレは日本でも人気があり、特に掃除機は日本製以上に丈夫で長持ちすると評判です。包丁のヘンケルスも日本でファンが多いでしょう。ドイツ製品は質実剛健というイメージがあります。

ドイツは往々にして自国通貨マルクが強かったのですが、そのもとで国際競争に打ち勝つにはどうするかを考えたとき、製品の質を向上させることに注力せざるを得なかったのです。その結果として強力な経済力をもった国を築くことができました。
日本もドイツに劣らず産業立国です。戦後ともに奇跡の経済復興を遂げました。その後、強い自国通貨のもとで質の向上に努め、国際競争力を養ってきた点でドイツと同様です。