生産性が「日本人より40%高い」ドイツ人が、月~金を「平日」と呼ばない理由

言葉から見えた、日独「労働観」の違い
隅田 貫 プロフィール

「平日」ではなく「働く日」と呼ぶ

また、ドイツでは、労働観が日本と違うように感じます。

日本人の誰でも知っているアルバイト(Arbeit)という言葉はドイツ語ですが、本当の意味は「労働」です。アルバイトはゲルマン語のarba が語源で、家来、奴隷といった意味になります。つまり、ドイツの労働には「苦役」というニュアンスが含まれているのです。

ドイツ語では月~金曜日を「Arbeitstag」もしくは「Werktag」と言い、意味は「働く日」になります。キリスト教圏なので、週末は安息日です。安息日には一切の労働をせず、お店も開いていません。安息日に苦役はしません。

日本では、月~金曜日は「平日」であり、言ってみれば普段の日。休日のほうが「特別な日」というイメージがあります。よく「週休2日」という言い方をしますね。つまり、働く日が普通の日であり、週何日休めるか、ということにフォーカスしています。したがって、休日は特別な存在です。

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一方ドイツでは一般に「週休2日」とは言わず、あえて言うなら「Fünftagewoche」、日本語に訳せば「週5日労働」というニュアンスになります。つまり、働くことがある意味特別であり、週の中にどれくらいその特別な日があるかという点に着目しているのです。

日本では労働は尊いものという道徳観があり、勤勉は美徳と考えられています。「働かざる者食うべからず」ということわざもあるぐらい、働くことは重視されているのです。

もし日本で「働くのは苦役だ」と経営者に言ったら、「だったら辞めれば? イヤイヤ働かなくていいよ。うちは前向きに働いてくれる人が欲しいのだ」と言われてしまうかもしれません。ドイツだったら、働くのが辛くなったら躊躇せずに次の仕事を探す人が多いと思います。無理して現職に留まろうとはしません。

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