生産性が「日本人より40%高い」ドイツ人が、月~金を「平日」と呼ばない理由

言葉から見えた、日独「労働観」の違い
隅田 貫 プロフィール

読者の多くの方々、特にシニア世代の方々は、学生時代のアルバイトをあくまで空いている時間に行い、もっぱら学業や遊びを優先していたことはありませんか。労働が人生のすべてではないという生き方もありますよね。

とはいえ、ドイツ人も決していいかげんに働いているわけではありません。

私が20年間ドイツ人と一緒に働いてきた実感として、「ドイツ人は働きすぎない」人種だと感じています。基本的に自分のアサインメント(割り当てられた仕事)を遂行することには勤勉です。しかし、それ以上のことはあえて無理にしません。

私はフランクフルトのメッツラー本社に入社した初日に、ドイツ式の働き方の洗礼を受けました。

社員がそろったのは朝9時前後で、9時を過ぎてから出勤してくる社員がいても、誰も咎めません。そのうえ、9時を過ぎていてものんびりとコーヒーを淹れたり、同僚と雑談を交わしたりしてから仕事を始めるのです。

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そして、18時を過ぎたら、みんなさっさと「また明日」と帰って行きます。まれに残業する人がいても19時半ごろにはオフィスは空っぽになっていました。

日本だったら、新人は就業時間の30分前には来て掃除をしたり、お茶の用意をするのが普通です。ベテラン社員でも10分前には出勤して、9時には仕事を始められるように準備を整えるでしょう。9時ピッタリに出社する新人はいません。

さらに、自分の仕事が終わっても、周りが仕事をしていたら帰りづらい雰囲気がある。いまは少なくなったかもしれませんが、新人が「お先に失礼します」と帰ろうものなら、「お前なあ、社会人とはそういうものじゃないんだよ」と言われることもそう珍しいことではないでしょう。

でも、毎日遅い時間まで残業して働いていたら、疲れて生産性が上がらないのではないでしょうか。

それでは、日本で生産性を上げるためには、どうすればいいのでしょうか? コミュニケーション法や組織のあり方など、ドイツから学べるところは多いと隅田氏は話します。ドイツの働き方からヒントをもらえる新刊『ドイツではそんなに働かない』は、全国の書店、ネット書店にて好評発売中!

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