2021.05.30
# 発達障害

いまだ未知数…発達障害の息子は「こんな風に、周りが見えている」と知った時の衝撃

自閉症がっちゃん(12)会社をもらう
佐藤 典雅 プロフィール

そんなGAKUがこの5月でハタチになった。この20年、息子の成長を近くでずっと見守ってきた子供が次のステージを目指すいいタイミングだ。がっちゃんからGAKUへ、SDGsアートの最前線で活躍する「アーティストGAKU」に成長してくれた。そこで息子の20歳のプレゼントして「社団法人byGAKU」を設立することにした。

というのもこれには理由がある。GAKUは、これまでは福祉施設の中の一つの活動として絵を描いてきた。もともとはノーベル高校で授業として絵を描いていたのだ。つまり、今までは福祉の枠組みの中で絵の活動をしてきたが、今後はアーティストとして自立していく決意を固めた。

がっちゃんのハタチのプレゼントは会社
 

社団法人byGAKUの設立は、これまでの「趣味活動の絵のがっちゃん」を卒業して「アーティストGAKUとしての活動」に本腰をいれていくという意思表示である。

なによりも、「GAKU paint」と言ったあの日から、がっちゃんの心には「絵を描く」以外の将来は考えていなかったんだ…と今では分かる。

「表現したいことがあったんだ」

それは、例えばこんな小さな変化からも読み取れた。

絵を描き始めた初期の頃の話だ。思ったより絵の枚数が溜まってきたので試しに自費で画集を出したときのこと。そのとき教室に届いたサンプルをもって、がっちゃんが三枝さんにドヤ顔でみせにいった。

三枝さんは、アイムが一番はじめにつくった、アインシュタイン放課後の初期からいる児発管(児童発達支援管理責任者)で、がっちゃんとは長い付き合いのスタッフでもある。なのでずっとがっちゃんの面倒をみてきてくれた。

最もおちつきがなく手こずった生徒だったがっちゃん。そんな彼が自分の作品の本をわざわざ三枝さんにみせにきた。がっちゃんは言葉でしゃべれないので単純に「GAKU、絵〜」といって見せただけだった。でも彼の顔は得意げだった。

「がっちゃん、ちゃんと自分の成果だっていう自覚もあるし、絵を描き始めて自信のある顔つきになったわね」

三枝さんが少し驚いて話してくれた。結構あたりまえな話に聞こえるかもしれないが、親の私にとっても「自分の絵が一冊のまとまった本になった自覚が、ちゃんとあるんだ」というのは驚きであった。というのも、言葉で物事を表現できないがっちゃんが、普段自分の行動や物事をどのように捉えているのか知る由もなかったからだ。

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