
それ以外にも、彼が絵を描き始めてから親として初めて分かったことがたくさんある。
「ちゃんと形と空間を理解しているんだ」
「こんな色彩センスがあったんだ」
「見たり感じ取ったものを作品に応用させて進化するんだ」
そしてここが最も重要な点である。
「こんなに物事を感じていて表現したいことがあったんだ」
もし絵が彼の言葉であるならば、彼の情報量は膨大な量になる。言葉では全く教えてくれなかったが、こんなに情報を吸収してきたんだ。そしてそれを作品の手法に反映させる理解力とセンスがあるんだ。
彼の作品をみて「人の能力はIQ(ちなみにがっちゃんは現在、IQ25と診断されている)だけでは測れないものだな」と痛感した。そして言葉を発しないからといって、物事を理解していないわけではないな、とより感じた。
中学の先生を覚えていたなんて…!
さらに、私にとってもうひとつ驚くことがあった。この3月の世田谷でのGAKUの個展の時のことだ。
がっちゃんはキレイなお姉さんが好きで(どの子供もそうだと思うが)、お姉さんを見つけると積極的に話しかけにいく。しかもきっかけづくりが上手で、自分の作品のハガキセットを最初に手渡すのだ。
もう一つ興味深いのは、自分からみて重要と思った人にはハガキでなく自分の名刺を渡す。キレイなお姉さんみんなが名刺をもらえるわけではない。ここらへんはちゃんと彼の中でも人に対する洞察力がみられる。
ちょうど週末の会場でいろいろなお客様がきてくれていた。するといきなりがっちゃんが会場の中を走っていって中年の女性二人組に話しかけにいった。
ものすごく興奮した感じで受付に戻ってくるとはりきって名刺を彼女たちに手渡していた。最初誰がきたのかわからず、私もスタッフも遠くからみていた。
キレイなお姉さんでもないし、なぜがっちゃんがあんなにテンションが高いのかわからなかった。スタッフも「なんかがっちゃんすごくご機嫌そうね」と話していた。