業界を引っ張っていく「強い意識」
これは何も映画やドラマに限定したものではなく、ラジオ番組「菅田将暉のオールナイトニッポン」でもそう。ここでの菅田は極めて自然体で、「気のいい兄ちゃん」的な気安さでトークを展開。リスナーにもフランクに接し、トップスターたる威厳を一切感じさせない。
売れれば売れるほど「できないこと」が増え、がんじがらめになりそうなものだが、菅田からはそんな雰囲気は皆無。ケラケラと笑いながら、実に楽しそうに、それでいて擦れたところもなく「あの事務所のオーディションに落ちちゃった」「昔はモブ(役名のない端役)ばっかりやってた」と自由に話す。
リスナーの無茶ぶりに応え、日本アカデミー賞授賞式に参加した際、カメラを向けられると口パクで「トビーマグワイア」と言うなど、サービス精神も旺盛。こうしたほほ笑ましい逸話の数々も、彼ならではの大きな魅力だ。
また、共演者等に話を聞いても、菅田は自分たち世代が映画・ドラマ界を引っ張っていく意識が強いという。
『花束みたいな恋をした』においても、とある場で再会した脚本家の坂元裕二と「また仕事がしたい(ふたりは2015年のドラマ『問題のあるレストラン』でタッグ)」と話していた時に菅田が「ラブストーリーをやりたい」と伝えたことでより具体的に動き出したそう。
中村倫也とのコラボ楽曲「サンキュー神様」は、自粛期間中にもの作りをして作品を届けたい、という菅田の発案から生まれたという。こうした企画者的な特性も持ち合わせているのだ。
気負わず繕わず、だが表現者としてのギラつきは衰えず――。菅田将暉のような俳優は、今後も出てこないに違いない。