ウーバー配達員の苦悩…労災特別加入の「おかしすぎる実態」

ユニオンが「企業負担の労災」を訴え

コロナ禍のなか、「Uber Eats」のロゴ入り配達バックを背に、自転車やバイクで街を疾走する配達員を目にする機会が増えた。

ウーバーイーツの売上高は20年に4倍ととなり配達員の数は10万人を突破。現在、32都道府県の配達エリアを全国に拡げるというから、今後、新型コロナウイルス感染が落ち着いても、各種料理を自宅で簡便に味わえるサービスを提供するウーバーイーツは、「食」の分野に定着するだろう。

〔PHOTO〕gettyimages
 

ウーバーイーツの配達員は、コロナ不況で職を失った人の「受け皿」にもなっているが、ウーバーイーツに雇われているわけではなく、個人事業主である。ウーバーイーツは、飲食店と顧客をつなぐアプリを提供、配達員はスマホアプリをオンラインにして仕事を受注、飲食店から料理を受け取り発注者のもとに届ける。だから個人事業主という位置付けだ。

ネットを通じて単発の仕事を引き受ける働き手を、音楽用語「ギグ(一晩限りの演奏参加)」を用いて「ギグワーカー」と呼ぶが、ウーバーイーツ配達員は、急増するギグワーカーの先鞭を付ける存在である。

それゆえ、道を切り開く役割も担う。

個人事業主は労災対象外…

5月24日、労働環境の向上を目指して結成されたウーバーイーツユニオンが、「労災保険の特別加入枠」に絡み、厚生労働省で記者会見を開き、土屋俊明委員長がこう趣旨を説明した。

「我々は、(19年10月の)ユニオン発足当初から、企業負担の労災保険を求めています。労災は原則として従業員に適用され、雇用関係から外れたフリーランスの加入は限定的。適用されたとしても『特別加入枠』という自己負担による例外的な扱いです。配達員は事故リスクが高く、専用のアプリを使わなければ仕事が成立しないにもかかわらず、企業側の負担がないのはおかしい」

会見で話をする土屋委員長(中央)
 

背景にあるのは、厚労相の諮問機関である労働政策審議会で進んでいるウーバーイーツ配達員などに労災加入を認めようとする「特別加入枠拡大」の論義だ。

配達員数の急増で事故も増えた。配達員は、事故を起こすことも、起こされることもある。だが、フリーランスの個人事業主は労災の対象外。療養、障害、休業、遺族などに様々な補償がなされる労災は、憲法第25条に保障された生存権にもつながるものだが、「特別加入枠」には“落とし穴”がある。

同席した川上資人弁護士が補足した。

「配達員にも労災適用となると、『加入できて良かったね』で終わってしまう。その過ちは正していきたい。5月21日の日経新聞1面トップに、『自営ワーカーに法の保護』というタイトルでこの問題が掲載されましたが、肝心なことが書かれていない。『特別加入』は企業が保険料を1円も負担しない、配達員が自腹で保険料を払って任意加入する制度です」

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