テスラに学ぶべき
また、民主主義国家では「民意の反映」であることも、共産主義中国では「党の意向」=「国策」である。
2012年に起こった反日不買運動の時期に、上海のユニクロ店舗で「尖閣は中国固有の領土」などと書いた紙を中国人の店長が一時張り出し、その写真がインターネット上に掲載された。ファーストリテイリングの柳井正氏は「反日デモの襲撃を避けるため、警察からの強い指示に店長がやむなく従った」と語ったと伝えられる。
中国共産党に対する柳井氏のへっぴり腰はその当時からだが、この時に柳井氏の反日的行動に怒った日本国民がユニクロの不買運動を徹底的に行っていたら、ファーストリテイリングの現在も変わっていたかもしれない。しかし、民主国家では国民に不買運動を強制することができないのも事実だ。
それに対して、最近の中国の国策と考えられるテスラへの消費者のクレーム騒動は常軌を逸している。
この件に関しては、朝香豊氏のコラム「反テスラのクレーム女子騒動から見る、中国経済の先行き」、ブルームバーグの記事「テスラ株、1月以降で時価総額約33兆円吹き飛ぶ-重なる悪材料」、さらにはこの2つの記事を中心に解説した闇のクマさんの動画「テスラ株大暴落の影に中国共産党!時価総額33兆円吹っ飛んだ!」を参考にしていただきたい。
ちなみに、テスラは世界時価総額ランキングの上位に位置するが、トヨタ自動車の時価総額が25兆円から30兆円程度であるから、33兆円というのはとてつもない数字である。
要するに、テスラに責任が無いと考えられる事故の遺族の女性が、モンスタークレイマーとして暴れまくってテスラをひれ伏させたのであるが、国家の威信をかけた上海モーターショーで車を踏みつけるなどということは、「超監視社会」の中国では警察(共産党)の暗黙の了解が無ければできないのだ。