米国で見え隠れする「ワクチン差別」…「ところでワクチン打った?」という会話に潜む危険性
実にトリッキーな会話
アメリカでは、新型コロナウイルスのワクチン接種率に比例して新規陽性者数も減少し、順調に経済活動が再開している。
東海岸ニューヨーク州では5月19日、入店制限などが解除されてビジネスはほぼ全面再開し、1万人以上の観客を受け入れたスポーツ試合なども行われた。西海岸カリフォルニア州でも、6月15日にはほぼ全面再開の予定だ。
近所のドラッグストアで、博物館で、駅や空港で……。さまざまな場所でワクチン接種を受けられるような措置をしているニューヨーク州で、人々はまるで「コーヒーを買いに行くように」接種を済ませている。

そんな中、友人・知人との会話の切り出しはもっぱら「ところでワクチンは打った?」だ。
自分の周りの人々が接種済みか否かの関心は、自身の接種を早くに済ませた人ほど高いようで、交友関係のみならず、Zoom会合での雑談や、近所を行き交う人とのスモールトーク、オフィスビルの入り口などで、二言目にはこのような質問が飛び交うようになった。もちろんこれから接種を受けようとする人も、副反応が気になるのか同様の質問をよくする。
この会話は実にトリッキーだ。ワクチンを打った人は「打った」で終了するが、中には打ちたくない人や健康上の問題で打てない人もいる。
現時点で49.9%の人々が少なくとも1回のワクチン接種を受け、未接種者は約半分となった。そして理由は何であれ、米国内の4人に1人が、ワクチン接種に消極的な姿勢を見せているのが現状だ。