2021.05.30
# 新型コロナウイルス

米国で見え隠れする「ワクチン差別」…「ところでワクチン打った?」という会話に潜む危険性

安部 かすみ プロフィール

「接種済み側」からのプレッシャー

photo by gettyimages

バイデン政権は7月4日の独立記念日までに70%の人が少なくとも1回の接種をする目標を掲げており、残り半分の国民に対して、ワクチン接種を積極的に促している。

「ワクチンは打った?」というこの何気ない会話は、今のところは問題ないかのように見えるが、奥底に潜在的な差別や格差、分断のキケンが秘められている。

今後より表面化してくれば、未接種者は返答しづらくなったり、グループから爪弾きされることもあるかもしれない。そして接種率がさらに上がれば上がるほど、格差や分断は広がっていく可能性はある。

筆者は5月半ばにワクチン接種を「完了」したので、現在は「接種済み側」だ。しかし少し前までは「未接種側」だった。アメリカでは4月19日、16歳以上の誰もが接種可となった。「未接種側」だった1ヵ月間、今後起こるかもしれない格差や分断を感じることが少なからずあった。

 

それは「接種済み側」の友人から接種へのプレッシャー(のようなもの)を感じたことに始まる。私が未接種と告げて以降、直接的ではないものの、「なぜ接種をしないのか」「今後接種する予定はないのか」などの質問をやんわりと受けることがあった。

筆者は以前より、気軽に接種できる場がそばにあり時間を取られないのであれば、パンデミックという緊急事態下において接種をするのは厭わなかったので、ほかの用事のついでに接種できる機会が訪れた際にそれを利用して接種を済ませた。気にかけてくれていた周囲の人にも報告をし、安心してもらった。

そんな中で格差や分断化の1つの分水嶺が、今月末にありそうだ。

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