うまくいかなかった一番の理由
単純な私は、これと同じことを教育業界でもやろうと思いました。教育業界で川上といえば講師採用業、川下といえば塾です。私は当時、日本で最大級の講師採用をしていた大手個別指導塾と共同で講師採用ができるようにしました。
また、同じく当時日本で最大級のインターネット予備校を経営していた東証一部上場企業とも提携しました。投資家からも資金を集め、絶対にうまくいくと思って、大学生が勉強の質問にいつでもすぐに答える事業を始めました。
ところがこの事業はうまくいきませんでした。うまくいかなかった理由はいろいろあるのですが、やはり一番大きかったのは、私が全方位的に人の気持ち、人情の機微というものをわかっていなかったことです。

たとえば、2つの大手企業との提携は、2つの企業の幹部レベルの方からのご紹介でどちらも実現したものでしたが、現場のスタッフからすれば、うさんくさい大学生がいきなりやってきて職場を荒らし回るのですから、いい思いはしなかったでしょう。
また、私がやっていたサービスについて1人1人のお客様がどう思うかということを、驚くべきことにこのときの私はまったく考え抜いていなかったのです。当然そんなサービスは失敗します。投資家にもご迷惑をおかけすることになり、本当に情けない形でこの事業は幕引きをせざるを得ませんでした。
そして、その次の事業として始めたのが、今の事業なのです。今の事業が軌道に乗り、ご迷惑をおかけした方々にお金を払うことができたのは、不幸中の幸いでした。