ある日、整体でカイロプラクティック施術を首に受けた瞬間、下半身が動がなくなり救急車で運ばれたーー。健康になるために訪れた整体で障害を持つ身になるなんて、誰も想像もしないだろう。そんな衝撃的な経験をした石川悧々(いしかわ・りり)さんは以来、歩行が困難になり、移動の際は車椅子を利用する生活を続けている。

健常者と障害者、どちらの経験も持つ石川さんは、障害の有無や性的指向・年齢などにかかわらず、誰もが一緒に楽しめるイベントを開催するバリアフリー社会人サークル「colors」を2014年に立ち上げた。コロナ禍が訪れる2019年まで、colorsは東京・西蒲田にあるシェアハウスで毎月10本ものイベントを開催していた。

『ラプソディ オブcolors』より

重度知的障害者の青年げんちゃん、脳性麻痺のデリヘル嬢Mayumiさん、義足シンガーのマイキーさん、難病を患いながら百人一首に曲をつけて動画配信するジョプリン氏、ガイドヘルパー/ヒップホップダンサーのアライさんら、ここに集う人々は非常に個性的だ。そんな彼らのありのままの姿を1年半かけて捉えたドキュメンタリー映画『ラプソディ オブcolors』(佐藤隆之監督)が5月29日に公開される。

「障害者となっても“生きづらさ”は感じない」と、ポジティブなオーラを放つ石川さん。SNSで「生きづらい」という言葉が溢れる現代において、彼女の明るさ、強さはいったいどこからくるのか。今回、石川さんに話を聞くことができた。

 

“強い”のではなく“受け入れた”だけ

――石川さんは救急車に運ばれたあと、何度も手術を繰り返されたそうですね。映画では体調が悪くなっていく描写がありましたが、今、お体の具合はいかがですか?

石川:頸椎損傷と脳幹血管腫を患っているのですが、3年前の映画撮影時よりも、もっと歩けなくなりました。カイロで脊椎をやられたときに脳の血管が切れて、脳のど真ん中に血の塊があるんです。その塊がどこかへ移動してしまうと、心臓が止まったり、認知症になったりするそうです。ここ数年、体調が徐々に悪くなっていますが、いつ急に寝たきりになるかもしれません。

ただ、歩きにくくなっていることやモノを飲みこみづらくなっているのが脳障害のせいなのか、加齢のせいなのか分からないですが(笑)。

石川悧々さん/『ラプソディ オブcolors』より