日本型経営が有利になる
インフレ型経済への転換の中で、価値が大きく急上昇するのが「信頼」である。
例えば、デフレ経済下では商品の仕入れなど簡単にできる。オークション形式で色々な業者を募集すれば「最安値」でいくらでも商品が手に入った。だから「取引先との良好な関係」などあまり意味が無かったと言える。募集すれば、いくらでも集まってくる「売り手」の中から好きなように選んで使い捨てればよかったのだ。
しかし、インフレ経済では立場が逆転する。「商品を仕入れることができるかどうか」ということ自体が大問題になる。だから、日頃から取引先と良好な関係を築き、「うちにも少し回してくださいよ」という要望が通るようにすることが極めて大事になるのだ。
このような状況になると、売り手としては「次々と取引先を変えて浮遊する買い手と付き合うのは好ましくない」ということになる。売り手が買い手を選べるのだから「継続的に仕入れをしてくれる信頼できる買い手」を優先するのは当然だ。
バブル崩壊後、日本型経営が「戦犯」のように扱われ、米国流の「とっかえひっかえ型」の目先優先経営がもてはやされたのは、色々な誤解も原因であった。しかし、デフレ経済では、目先の利益を優先する「縮小均衡」型の米国流経営が有利であったことも大きい。
もちろん、「縮小均衡」にも「ゼロ円の壁」がある。
これからのインフレ型経済への転換の中で、日本型経営が見直されるのは当然だと言えよう。